不動産 税金相談室
相続で取得した不動産の譲渡と小規模宅地の特例 【不動産・税金相談室】
2023.06.20
Q 父がひとりで暮らしていたマンション1室を相続しました。
ゆくゆくそのマンションに私が住む予定で、相続税の申告でも小規模宅地の特例を適用しました。
ところが、状況が変わり、そのマンションを売却することなりました。
この場合、小規模宅地の特例は適用できなくなりますか。
また、このマンション1室を売却して利益が出た場合の所得税の計算についても、何か特例はありますか。
相続税は、小規模宅地の特例を適用しましたが、税金も納めています。
A 相続税の申告では、家なき子に該当し、居住用の小規模宅地の特例を適用したものと思われます。
この居住用の小規模宅地の特例には、いくつか要件がありますが、その中に継続所有要件があります。
相続した宅地を、相続開始後10か月間所有し続けることが要件のひとつにあります。
したがって、売却するのが10か月後の相続税の申告期限後であれば、小規模宅地の特例は適用できます。
相続税の申告期限前に売却となった場合は、この特例が適用できなくなりますので、ご注意ください。
また、マンションを売却した場合には、譲渡所得の申告も必要になります。
譲渡所得の計算は、売却価格から取得費を控除しますが、この取得費に相続税の一部を加算することができる特例があります。
これを取得費加算の特例といいます。
取得費加算の特例は、相続により取得した資産を相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合に、その譲渡資産の取得費に相続税の一部を加算することができる、というものです。
要するに、支払った相続税のうち、譲渡資産に対応する部分について、取得費として売却価格から控除することができるのです。
ただし、今回の場合は、小規模宅地の特例を適用しますので、相続税の申告期限まで所有しつつ、相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売却すれば、この特例を適用することができます。
この特例を適用するためには、売却した年の翌年の所得税の確定申告書に取得費に加算される相続税の計算明細書、譲渡所得の内訳書等の添付が必要です。
この計算については、相続税の申告書を確認しながら行います。
複雑な計算を伴う場合もありますので、このような計算を含む申告は、税理士に依頼することをおすすめいたします。
《担当:税務部 宮田 雅世》
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