不動産 税金相談室
親名義の建物を子がリフォームする場合 【不動産・税金相談室】
2023.07.04
Q 私は、親が所有している建物に同居することを考えています。
この建物は築年数が経っているため、同居開始に際して、私がローンを組んでリフォームすることを検討中です。
親は自分で資金負担をしていないにもかかわらず、価値が向上した建物を保有することになりますが、何か税金の問題は生じないでしょうか。
A リフォーム代金を負担されたご質問者が、負担部分に対応するリフォーム後の建物持分を取得されない場合は、子から親に対する贈与があったものとして取り扱われます。
既存建物にリフォームをした場合、リフォーム部分は建物に付合し既存建物の所有者である親の名義となります。
したがって、親御様からすると自身の資金負担なく、リフォーム部分の価値を受け取っていることになり、この部分が贈与と判断されます。
では、リフォーム部分の贈与が生じないようにするには、どのようにすれば良いのでしょうか。
一つの選択肢として、リフォーム前に建物を親から子に贈与する方法が考えられます。
築年数が経過している建物で、固定資産税評価額が低い場合、暦年贈与の基礎控除(110万円)内に収まるようなときは、贈与税が生じません。
また、相続時精算課税の要件を満たすのであれば、特別控除 2,500万円を活用した建物の贈与を行うことも考えられます。
事前に名義を移すことで、リフォーム部分が子から親に対する贈与にならないことに加えて、要件を満たす場合は子が住宅ローン控除の適用を受けることも可能となります。
別の選択肢としては、リフォーム代金に相当する建物の持分を親から子に譲渡し、共有とする方法も考えられます。
この場合、贈与税は課税されませんが、親から子に移転した建物の持分は親が子に譲渡したものとして扱われます。
具体例として、以下の数値例で考えてみます。
(1) 既存建物の時価・・・ 500
(2) リフォーム代金・・・1,500
リフォーム後の建物価値は(1)+(2)で2,000となり、割合として親が1/4(500/2,000)、子が 3/4(1,500/2,000)の持分を保有すれば、贈与は生じません。
この場合、親は既存建物500のうち、3/4に相当する持分375を子に譲渡することになります。
(譲渡の対価は、リフォーム部分 1,500の1/4)
結果、親はリフォーム部分1,500の1/4と、既存建物500の1/4で、計500の持分を保有することになります。
ご質問の事例のように、子負担で親名義の建物にリフォームをする場合、リフォーム部分が贈与と認定されないよう事前に上記のような対策を検討しておくことが重要です。
《担当:藤井 裕生》
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