不動産 税金相談室
マンション評価の見直しについて【不動産・税金相談室】
2023.08.15
Q タワーマンションの評価について見直しがされると聞きましたが、どのような内容なのでしょうか。
A タワーマンションを利用した節税(いわゆるタワマン節税)が話題となってずいぶんと経ちますが、その節税対策の見直しが図られるようです。
これは、令和5年度の税制改正大綱において「適正化を検討する」とされていたことを受けて、財産評価に関する通達を改正しようとするものです。
ただし、現時点では国税庁の見直し案についてパブリックコメント(意見募集)が行われている段階であり、確定した内容ではありませんのでご留意ください。
そもそも、タワマン節税とはどのようなものか、確認してみましょう。
一般的に、相続等の財産評価では、現金よりも不動産の方が評価額は下がると言われています。
なぜなら、現金の1億円はどのように評価しても1億円のままですが、不動産の場合には、所定の評価方法に当てはめると、売買価額の6~7割程度で評価されるためです。
つまり、手許の現金を原資にして、不動産を購入すれば、それだけで3~4割程度の節税になるのです。
とはいえ、不必要な不動産を抱えることは健全ではありませんし、不動産の購入には大きなお金が伴いますから、現金などの貯蓄状況によっては、「誰でも簡単に」不動産により節税ができるわけではないでしょう。
さて、本題のタワマンですが、ある調査によると現状の評価方法を用いた場合通常の不動産よりもさらに低い、売買価額の3割程度まで財産評価が下がるそうです。
タワマンの売買価額が高額となるのは、所有していることのプレミアム感や、その景観等も加味されているからで、たとえ同じ材料で建てられていても、低層マンションよりも高額になりやすい傾向があるのです。
一方、相続等での財産評価の基となる固定資産税評価は、材料等をベースにしていますので「タワーマンションの最上階は特別な価格」になるわけではありません。
また、都心の一等地にあっても、タワーマンションのように多くの戸数があれば、その土地の評価は戸数によって(それぞれの面積に応じて)按分されるため、一戸あたりの評価額も抑えられます。
このような背景もあって、実際の売買価額と相続等での財産評価との乖離が大きいわけです。
今回の見直し案では、この乖離に着目して、一定以上の乖離率がある場合には評価額が補正される仕組みを取り入れるとのことです。
計算方法が複雑なものになりますから、詳細については改正が確定しましたら改めてご紹介したいと思います。
なお、対象となるのはタワマンだけでなく、3階建以上など一定の条件に当てはまるマンションも含まれますからご注意いただきたいと思います。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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