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実践!事業承継・自社株対策

株式交付はまだ間に合うか【実践!事業承継・自社株対策】第163号

株式交付はまだ間に合うか【実践!事業承継・自社株対策】第163号

2023.08.24

Q 当社は、私が創業した中小企業ですが、息子が事業承継をする予定はありません。

そこで、私の持つ株式を関連会社(持株会社にする)に移して親会社にし、そちらを息子に継がせる予定です。

この場合、株式交付の制度を使うと、私の株式を無税で移せるとのことですが、期限が9月末のようです。あと1か月ちょっとしかありませんが、今からでも間に合うでしょうか?

A 可能です。

株式交付は、他の会社を子会社とするために、他の会社の株主から株式を譲受け、その対価として自社の株式を交付する制度です。

自社の株式は新たに発行しても良いし、自己株式を持っている場合は、その株式を交付しても構いません。

株式交換に似ていますが、株式交換は100%子会社にするために行われますが、株式交付は50%超の子会社になればよく、使い勝手が良いといえます。

また、株式交付の対価の80%以上が、親会社の株式であれば、株式交付に応じた株主(ご質問者)の株式譲渡益課税が行われない、ことになります。

ただし、本年度(2023年度)の税制改正で、2023年10月1日以後に行われる株式交付で、株式交付後に親会社が同族会社に該当する場合は、株式譲渡益課税が行われることになりました。

したがって、同族会社が譲渡益課税なしで、株式交付を行う場合は、9月末までに行う必要があります。

株式交付を行うためには、株式交付比率や効力発生日等のスケジュールなどを記載した株式交付計画を作成し、株主への通知、申込み、割当て、株主総会の決議等を行う必要があります。

それぞれに期間を設ける必要がありますが、株主の同意により期間を短縮することができますので、同族会社であれば、1週間もあれば実行することは可能です。

ただし、株式交付比率を計算するためには、両社の株価を計算したり、全体のスキームを検討したり、各種書類を作成する必要がありますので、やはり1か月くらいは見た方がよろしいかと思います。

《担当:税理士 北岡修一 》

編集後記

本内容については、何件か問合せをいただきました。
株式交付は使い方によっては、組織再編や事業承継に役立つので同族会社の場合は、今から後1~2週間検討の余地があるのではと思いますね。

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