不動産 税金相談室
信託財産に係る税金および確定申告【不動産・税金相談室】
2023.09.19
Q 父は数年前に他界し、現在、母が父から相続したアパートを所有しています。
新たに母名義でもう1軒アパートを建てる予定ですが、母の判断能力が不安になってきていることもあり、私に家族信託をすることを検討しています。
母が委託者兼受益者、息子である私が受託者になります。
この場合の税金および確定申告はどのようになりますか。
また、注意すべき点は?
A ご質問の信託をすることにより、不動産の名義がお母様からご質問者に変わることになります。
ただし、家賃収入等の受益者はお母様であるとのことで、不動産の名義が移ったとしても、この時点では譲渡や贈与にはならず、所得税や贈与税の課税はありません。
また、不動産取得税もかかりません。
家賃収入は受益者であるお母様が受け取ることになりますので、お母様は既存のアパート収入と信託財産からの収入を含めて、確定申告をする必要があります。
なお、既存のアパートは信託するのかどうかわかりませんが、収支明細書は別々に作成しておく必要があります。
また、信託財産の収支が赤字であった場合は、その損失は他の不動産所得の黒字と損益通算できない他、他の所得とも損益通算することはできませんので、注意をする必要があります。
受託者であるご質問者は、この信託財産について確定申告をする必要はありませんが、計算書の提出が必要となってきます。
それは「信託の計算書」といいますが、毎年1月1日~12月31日までの収益や費用の内訳、12月31日時点の信託にかかる資産や負債の内訳、受益者が受ける報酬の額などを記載し、翌年1月31日までに税務署に提出する必要があります。
また、あわせて「信託の計算書合計表」を添付することになります。
これらも忘れないようにしておかなければなりません。
《担当:税理士 北岡 修一》
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