不動産 税金相談室
相続したマイホームを売却した場合の 3,000万円特別控除【不動産・税金相談室】
2023.10.17
Q 父が亡くなり、自宅の土地を同居していた長女が、建物を長男が相続しました。
このたび、この家を売却することになりましたが、土地と建物を同時に売却することで、マイホームを売ったときの 3,000万円特別控除は長男長女とも適用可能でしょうか。
長女は父と同居していましたが、長男は別のところに居住しています。
A 結論からいうと、お2人とも 3,000万円特別控除の適用はできません。
理由は、その家に所有者である長男が住んでいないためです。
マイホーム(居住用財産)を売却したときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除といいます。
この特例は、原則として家屋の所有者が、家屋とその敷地を譲渡した場合に受けられるものです。
ただし、家屋の所有者と敷地の所有者が異なるときでも次の要件のすべてに当てはまるときは、敷地の所有者もこの特例の適用を受けることができます。
○ 敷地と家屋と同時に売却すること
○ 家屋の所有者と敷地の所有者とが親族関係にあり生計を一にしていること
○ その敷地の所有者は、その家屋の所有者と一緒にその家屋に住んでいること
上記のとおり、家屋の所有者である長男はこの家屋には居住していないため、そもそも居住用財産に該当しません。
そのため、「マイホームを売った」ことにはならないのです。
そうなると家屋の所有者と敷地の所有者が異なるときでも、同時に売却した場合に適用できるかどうか、の判断にも至りません。
たとえば土地を長男が相続し、家屋を長女が相続した場合には、その家屋に長女が住んでいるため「マイホームを売った」ことになり、長女は3,000万円特別控除を適用することができます。
ただし、土地の所有者である長男は、その家屋に一緒に住んでいないため、3,000万円特別控除をの適用を受けることができません。
売却益は主として土地から生じると思われますので、土地の所有者が3,000万円特別控除を使えないと、ほとんど効果がないのではと思われます。
相続後、マイホームを売却する予定があるのであれば、土地建物ともにその家に住んでいる方が相続するのが、良かったのではないでしょうか。
《担当:税理士 北岡 修一》
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