不動産 税金相談室
居住用財産の買換えと軽減税率【不動産・税金相談室】
2023.10.31
Q 私は、30年にわたり住んでいた家を8,000万円で売却し、新居を4,000万円で購入する予定です。
居住用財産の3,000万円控除も検討しましたが、新居購入価格4,000万円と居住用財産の3,000万円控除の額を単純に比較すると、新居購入費の方が高いため、居住用財産の買換えの特例を適用する方が有利なように思います。
何か注意すべき点はありますか。
A 居住用財産の3,000万円控除や、居住用財産の買換えの特例の基本的な適用要件は、ご相談者様の方で確認されていることと思います。
その上で気になることは、適用税率についてです。
所有期間が10年超である居住用財産を売却した時には、軽減税率を適用することができます。
下記に所有期間に応じた税率(所得税率+住民税率)をまとめてみました。
○ 所有期間5年以下 39.63 %
○ 所有期間5年超 20.315%
○ 所有期間10年超 14.21 %
さて、ここで注意すべき点は、この軽減税率は、居住用財産の3,000万円控除と合わせて利用することができますが、居住用財産の買換えの特例とは一緒に適用することはできません。
よって、もし居住用財産の買換えの特例の計算の際、税率を14.21%で計算されている場合は、20.315%で計算しなおして再度判断してみてください。
● 簡易試算
(8,000万円を売却益として概算。申告時の計算とは異なります)
○ 居住用財産の3,000万控除の場合
(8,000万円-3,000万円)×14.21%=710.5万円
○ 居住用財産の買換えの特例の場合(税率を誤って計算)
(8,000万円-4,000万円)×14.21%=568.4万円
○ 居住用財産の買換えの特例の場合(税率を適正に計算)
(8,000万円-4,000万円)×20.315%=812.6万円
また、居住用財産の買換えの特例は、課税の繰り延べであり、新居の取得費は、今回売却した資産の取得費を引き継ぐことになります。
将来、今回購入した新居を売却するときには、取得費がかなり少ないものとなってしまいますので、その点も考慮していただければと思います。
《担当:税理士 青木 智美》
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