実践!相続税対策
貸付事業用の小規模宅地特例の3年しばり【実践!相続税対策】第619号
2023.11.08
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先週、相続の際の、アパートの敷地などの貸付事業用の小規模宅地特例について、お話しました。
居住用とのからみはあるが、200m2まで50%の評価減ができる、というものです。
ただし、平成30年度の税制改正で、アパート建築や購入などによる、相続直前の相続税対策に歯止めがかけられました。
それは、相続開始前3年以内に、新たに貸付事業の用に供された宅地等は、上記小規模宅地特例の対象にならない、というものです。
相続直前の駆け込みによる相続税対策を、防止するためです。
ただし、亡くなる前3年を超えて、事業的規模で貸付事業を行っていた場合は、3年以内に取得した物件も対象になります。
それなりの規模で、事業で行っている場合は、相続税対策ではなく、事業の一環として新たな物件を取得したものと考えられるからです。
この事業的規模というのは、所得税の場合と同じです。
すなわち、毎年の不動産所得の確定申告で青色申告特別控除を65万円(または55万円)受けている場合です。
不動産所得の場合、具体的には5棟10室基準で判断している場合が、多いかと思います。
戸建であれば5棟、アパートやマンションであれば10室以上を賃貸していれば、事業的規模になるということです。
両方ある場合は、戸建て1棟をアパート2室と換算して計算します。貸駐車場の台数をからめる場合もあります。
平成30年当時は、経過措置があり除かれるものもありましたが、現在では3年内に取得したものは、事業的規模以外は、すべて小規模宅地特例の対象外となります。
アパート建設等による相続税の節税を考えるのであれば、早目に対処していくことが必要です。
ただ、先週お話したように、自宅(居住用)の方で、小規模宅地特例をすべて使ってしまう(自宅が330m2以上ある場合)場合は、
貸付事業用の方で、小規模宅地特例を使うことは、そもそもできません。
アパートやマンションの建設や購入は、小規模宅地特例が使えなかったとしても、相続税上はメリットがあります。
それは、現預金を不動産に変えることによる評価減、および貸家建付地や貸家評価による評価減を取ることができるからです。
この辺りもよく検討し、資産の有効活用、相続対策を考えていくことが大事ですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
11月というのに暑い日が続いていましたね。
今日あたりからは、少し寒くなるようですが、やはりその季節らしくなる方が、気分的も体調的にいいですね。
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