実践!相続税対策
教育資金一括贈与、贈与者が亡くなった場合【実践!相続税対策】第633号
2024.02.28
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
祖父母や親など、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合は、1,500万円まで非課税になるという特例は、多くの方がご存知のことと思います。
平成25年4月に導入されて以来、何度か延長されてきており、現在では令和8年3月31日までの期限となっております。
相続税対策にもなるということで、かなり多くの方に利用されてきております。
この非課税特例の適用を受けた場合において、贈与者が亡くなったときに、まだ残高がある場合、相続税の課税はどうなるのでしょうか?
これに関しては、税制が変わってきておりますので、注意が必要です。
いつ、教育資金の贈与を行ったかによって、相続税の課税が変わってくるからです。
(1)まず、制度創設当初(平成25年4月)から、平成31年3月31日までに贈与した場合は、使い切れていない残高があっても、それに相続税がかかることはありません。
この間に贈与を行った方が、多いのではないかと思いますが、その方々はひと安心ですね。
(2)次に、平成31年4月1日から、令和3年3月31日までに贈与を行った場合は、死亡前3年以内に行った贈与について、使い切れていない残高がある場合にのみ、相続税が課されます。
令和6年4月1日以降に相続があった場合は、上記期間から3年超たっていますので、課税はされない、ということになります。
(3)令和3年4月1日以降に贈与した場合は、贈与者が死亡したときにおいて、使い切れていない残高がある場合には、原則、相続税が課されることになります。
ただし、次の場合には、相続税は課されません。
・23歳未満である場合
・学校等に在学している場合
・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合
この相続税が課されない3つの場合は、(2)の場合にも同様です。
以上、いつ贈与したものであっても、23歳未満の場合や、学校等に在学している場合は、相続税の課税はない、ということでした。
が、令和5年の税制改正で、次のように変わりました。
令和5年4月1日以降に贈与した場合において、贈与者が亡くなったときは、相続税の課税価格の合計額が5億円超である場合は、23歳未満等であっても、相続税が課される、ということです。
富裕層への課税強化、ということですね。
これから教育資金贈与を考えている場合は、よく検討しておく必要がありますね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
2月も最終日ということになりました。確定申告期間は残り半分ですね。あっという間の気がします。
そろそろ上記のセミナーに向け、テキストを完成させていかなくては、と思っています。是非、皆さまのご参加をお待ちしております。
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