実践!相続税対策
海外に住む相続人が実家を相続した場合【実践!相続税対策】第634号
2024.03.06
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
実家に被相続人が1人で住んでいる場合、海外に住んでいる子が実家を相続したときに、小規模宅地特例が使えるか、という質問がありました。
小規模宅地特例が使えれば、その土地は330m2まで80%の評価減をすることができ、相続税は大きく減ることになります。
海外に住んでいるのですから、同居親族ではないので、俗にいう「家なき子」に該当しなければ、小規模宅地特例を受けることができません。
家なき子に該当するためには、次の要件を満たす必要があります。
1.日本国籍を有すること
2.被相続人に配偶者がいないこと
3.同居している相続人がいないこと
4.亡くなる前3年以内に、日本国内にある、本人、配偶者、三親等内の親族、経営する法人等が所有する家屋に居住したことがないこと
5.亡くなった時に、本人が居住している家屋を、いずれの時においても、所有していたことがないこと
6.相続税の申告期限まで所有していること
4番目、5番目の要件は、近年改正されて厳しくなっています。
4番目の要件は、亡くなる前3年以内に、自分や配偶者等が所有する家屋に住んでいると、家なき子にならない、ということです。
ただし、これは日本国内にある家屋となっていますので、海外で自宅を持っていても、これには該当しないことになり、家なき子になれる、ということになります。
ただし、5番目の要件で、被相続人が亡くなった時に住んでいる家屋を本人が所有していた場合には、家なき子にはならない、ということになっています。
すなわち、被相続人が亡くなった時に、海外で自分が所有する家に住んでいると、家なき子にはなれなくなります。
ただし、これは本人のみの所有の場合ですので、配偶者や親族が持つ家に住んでいる場合はOK、ということになりますね。
海外に子が住んでいる場合には、この辺りも考えておいた方が良いのではないでしょうか。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
私どもでは、今年の確定申告も不動産の譲渡や贈与など資産税系の申告が多く、かなり気を遣いますね。特例を使う場合などは、適用条文なども記載する必要があり、それがなかっただけで、特例を受けられない、ということにもなりますので、細心の注意を払う必要がありますね。
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