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実践!社長の財務

落とすべき時に落とす【実践!社長の財務】第628号

落とすべき時に落とす【実践!社長の財務】第628号

2015.11.16

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

今日は時間がないので、早速本文に入っていきます。

ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。

落とすべき時に落とす

売掛金や貸付金などが、相手先が支払える状況でなくなり、とても回収できる状況でなくなった場合、これを損金で落とすかどうか、悩むことがあるかと思います。

相手が完全に倒産したり、自己破産したりすれば、落とさざるを得ないのでしょうが、なかなか踏ん切りがつかない場合もあります。

まして、こちらの業績があまり良くない場合など、落としてしまうと赤字になってしまう、という状況だど余計に落としづらくなってしまいます。

そこで、実際には回収できないけれども、貸倒れにはせずに、そのまま売掛金や貸付金にしておく、というケースも多いのではないでしょうか?

ただ、貸倒れについては、本来落とすべき時期は、決まっています。

会社更生法や民事再生法などで、切り捨てられることが決定した場合は、その年度で落とします。

相手が債務超過などで返済が不可能で、債権放棄などをした場合は、当然、その時に落とします。

また、実質的に全額回収できないことが明らかになった時は、その明らかになった年度で落とします。

上記は、言ってみれば当然のことなのですが、こちらの事情もあります。どうしても今期は落としたくない、となれば、そのままにしてしまうことも、ある程度は理解できます。

特に、上記の3番目の実質期に全額回収不能・・・というのは、こちらの判断が入りますので、先延ばししやすいのです。

とりあえず貸倒れにしないことについては、税務上は、税金を減らすわけではないので、その時には問題はありません。

ただ、いずれ落とす際には問題になってくることがあります。
それは、落とすべき時期を逸してしまっているので、後で落とすと否認されてしまう可能性があるのです。

貸倒損失は、本来落とすべき時期が損金算入の時期です。

たとえば、3年前に落とすべき貸倒損失を今期に落とせば、本来は今期の損金ではありません。3年前の損金です。

したがって、厳密にやれば、今期の貸倒損失は認められないことになります。

今期の申告は修正した上で、3年前の申告について、更正の請求の手続きをしなければなりません。

今期の分の税金を払って、3年前の税金を返してもらう、というようなことになります。それでは面倒なので、税務調査などでは、実務的には容認してくれることも多いでしょう。

ただし、更正の請求は5年前までしかできませんので、それ以前に落とすべき貸倒れがあった場合には、状況が違ってきます。

今期の修正申告だけして、5年より前の貸倒れ分の税金は還ってこない、ということになってしまいます。

回収もできず、損金にして税金負担を減らすこともできず、ということになってしまうのです。

このようなことが起こらないためにも、貸倒れについては、どうしても回収できないものは、その事実が発生した時にしっかりと落としておくことが大事です。

ほっておくと、いつ回収不能になったのかわからなくなりますので、注意してください。

編集後記

昨日は、友人のお子さんが出るというのでバレエを見に行きました。すばらしかったですね!軽快でキレのある動き、毎日の練習量と節制が半端じゃないんだろうなと思いましたね。
心が洗われるような時間でした。

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