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会社に対する貸付金をどうするか?【実践!事業承継・自社株対策】第204号

会社に対する貸付金をどうするか?【実践!事業承継・自社株対策】第204号

2024.06.20

Q 当社は社長である父が70%の株式を保有し、専務である長男の私が30%の株式を保有しています。

父は会社に約5,000万円を貸し付けておりますが、将来の相続において、これが相続財産になることを危惧しています。

会社は、最近では若干の黒字を出していますが、過去の大きな損失により、債務超過の状態であり、繰越欠損金もあります。
とても貸付金を返済できる状況にはありません。

この貸付金をどのようにしていったらよいか、何か良い方法はあるでしょうか?

A ご質問のとおり、会社に対する貸付金は、将来のお父様の相続において、相続財産となり、相続税が課されます。

現金化できない財産を相続して、相続税を払うというのは納得できないでしょうし、何とか避けたいところかと思います。

相続時において、貸付金が実質的に回収不能であるとして、評価減をすることも考えられますが、若干の黒字で営業を継続している状況では、評価減は難しいでしょう。

そうなると、生前に貸付金を減らしていくことを考えた方が良いかと思います。

まず考えられるのは、貸付金の放棄です。

貸付金を放棄すれば、会社には債務免除益という利益が発生しますが、繰越欠損金があるとのことですので、その範囲内であれば、法人税はかかりません。

法人税がかかっても、より多額の貸付金を放棄するという手もありますが、この場合には贈与税の問題が出てきますので、要注意です。

現在は債務超過ということですので、土地などの含み益がない限り、株価はゼロになっているかと思われます。

この状況で、貸付金を放棄したことにより、債務超過が解消されると、株価がプラスとなってきます。同族株主であるご質問者が、30%の株式を持っているとのことで、この財産が増加することになります。

この増加額が、貸付金を放棄したお父様からご質問者へ贈与したものとされ、贈与税がかかってくるということになります。

その他考えられることとして、貸付金を贈与するという方法もあります。

贈与税には毎年110万円の基礎控除がありますので、その範囲で、あるいは贈与税を払ってでも多くの貸付金をご質問者、あるいはその他の親族に贈与していく、ということです。

また、究極の方法としては生前に会社を清算してしまう、ということも考えられます。

清算した場合には、返済不可能な貸付金は放棄することになりますが、残余財産がないと見込まれる場合には、期限切れの欠損金も、債務免除益から控除することができます。

他の財産、債務、事業の状況にもよりますので、可能かどうかはわかりませんが、一考の余地はあるかと思います。

現在の事業は後継者が別会社を作って、引き継いでいくということも考えられます。

以上、参考にしていただければと存じます。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

今回のような代表者から多額のお金を借りている会社は多いですね。この対策には長い時間がかかる場合が多いですから、早目に検討して実行していくことが大事ですね。

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