不動産 税金相談室
官地の取得と相続税評価【不動産・税金相談室】
2024.07.30
Q 将来の相続に備えて財産の整理をしていたところ、資材置き場として所有している土地の一部に官地があることがわかりました。
もともと農地があったところであり、水路として利用されていたものですが、現在では私の資材置き場と一体となっている状況です。
この場合、官地はどのように取り扱えば良いのでしょうか。
A 所有する土地に、昔の水路(青道)や農道(赤道)などの「官地」が通っているケースがあります。もちろん、この部分は自己の所有する土地ではありませんから、相続税の評価をする上では調整を加えたり、除外しなければなりません。
とはいえ、既に発生した相続ではなく、現在は相続対策の段階のようなので、官地の取得が可能か否かも考えておきたいところです。
官地が通っている場合、その土地を売却しようと思っても障害となったり、すぐに売却することができないケースも考えられますので、事前に(生前に)対応しておいた方が得策です。
官地が、水路や農道として機能しているのであれば取得は困難ですが、機能していないのであれば払下げによって取得することも可能です。
ご質問のケースでは、おそらく一体として資材置き場に使用していたようですから、水路や農道として機能はしていないのであれば、払下げを検討しても良いでしょう。
また、既に水路や農道としての機能が失われ、かつ、その上に構造物などを設置して占有している場合には、時効取得により所有権を主張することができる制度もあります。
ここでは、払下げや時効取得の手続きなどの話は省略しますが、仮に時効取得の場合には、その取得した官地の時価が経済的利益となり、課税の対象となりますのでご留意ください。
さて、将来の相続の際には、官地である水路や農道の状況によって、その土地の評価が変わります。もし、水路や農道が機能しているのであれば、官地を除いて評価します。
そのため、水路や農道が所有する土地を横断している場合には、2画地として分けて評価することになります。
一方、水路や農道が機能しておらず、占有している状態であるものの、払下げや時効取得がされていない場合には、官地を含めて一体として評価しますが、払下げ相当額を控除することが認められています。
もちろん、払下げや時効取得によってご自身が所有者になるのであれば、取得した官地を含めて土地全体を評価します。
このように、将来の相続税評価にも影響しますので、まずは時効取得や払下げのご検討されてはいかがでしょうか。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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