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実践!相続税対策

国外居住者がいる場合の遺産分割協議書【実践!相続税対策】第656号

国外居住者がいる場合の遺産分割協議書【実践!相続税対策】第656号

2024.08.07

皆様、おはようございます。
資産税部の太田遼です。

最近はグローバル化も進みつつあり、海外に移住される方が多くなってきたように感じます。

そうなると、相続が発生した際に相続人が海外に居住していることも当然考えられます。

それでは、相続人が海外に居住している場合、その相続人なしでも遺産分割協議を行ってもよいのでしょうか?

答えは否で、遺産分割協議については、必ず相続人全員で行う必要があります。

さらにいえば、海外の相続人については、日本の居住者と用意すべき書類が異なってくるので、注意する必要があります。

それでは、国外に相続人がいる場合は、遺産分割協議書をどのように作成していけばよいか、注意点を含めつつ見ていきましょう。

1:必要書類を取得しよう。

相続人が国内居住者の場合、通常であれば戸籍や住民票、印鑑証明書等が必要となってきますが、国外居住者の場合は、下記書類が必要となってきます。

<サイン証明書>

海外に居住している人は、印鑑証明書がないことから、サイン証明書を印鑑証明書の代わりとして提出することになります。

サイン証明書とは、海外に住んでいる人に対し、印鑑証明書の代わりとして在外公館が発行するものです。

~国外での取得方法~

(1)サイン証明書を必要とする方が住んでいる国の日本大使館もしくは領事館へ行く。

(2)遺産分割協議書に、領事の面前でサインを行う。
※領事の面前で署名(または拇印)を行わなければならないので、申請する方本人が出向いて申請することが必要となってきます。

そのため、代理人を立てての申請や郵送での申請はできませんのでご注意ください。

(3)本人がサインしたものの証として、サイン証明書が取得できる。

~国内での取得方法~

国外居住者が日本に一時帰国している場合には、日本の公証役場でサイン証明書を取得することもできます。

本人確認資料として、顔写真付きパスポート、海外の住所がわかるもの(在留証明や免許証等)を持参して、公証人の目の前で、遺産分割協議書等に自身で署名することにより、それらの書類に本人が自筆で署名したという「サイン証明書」を作成することができます。

※公証役場については、特に指定はなく、日本に一時帰国している国外相続人の行きやすいところで問題ありません。

<在留証明書>

もしも、国外在住の相続人が不動産を相続する場合は、在留証明書が必要となってきます。

在留証明書とは、外国のどこに住所(生活の本拠地)を有しているかを証明する書類となっており、年金の受給や不動産登記、学校の受験手続き等に使用されます。

~取得方法~

(1)在留証明書を必要とする方が住んでいる国の日本大使館もしくは領事館へ行く。

(2)申請を行い、在留証明書を発行してもらう。

2:相続人が国外に居住している場合は、下記に気をつけよう

(1)書類準備・やり取りの時間
サイン証明書や、在留証明書は窓口へ行けば即日発行してもらえますが、いざ、大使館や領事館へ予約の連絡をしてみると、一か月先まで埋まっていることもあります。

また、書類の授受には国際郵便を使用することから資料のやり取りもそれなりに時間がかかってきます。

そのため、時間に余裕をもって作業を進めないと申告期限に間に合わなくなってしまいます。

(2)遺産分割協議
日本国内であれば、相続人同士が顔を合わせて話し合いができますが、海外に相続人がいる場合は、時差や通信環境の違いからそう簡単に話し合いができません。

もしも生前に遺言を残せるのであれば、遺言を残しておいたりするなど、相続人同士がお互い思いやりを持ち、自分勝手に動かず争続とならないような心がけが必要となってきます。

(3)国外居住者が相続する財産の確認
海外在住の相続人が預貯金を相続する場合で、日本国内に口座を開設していない場合は、海外送金をする必要があります。

そうなると、送金のための手続きとして、日本の各金融機関から遺産分割協議書等の原資を確認できる書類の提示を求められたり、戸籍謄本等の提示を求められる場合があります。

また、海外送金手数料もおおよそ、2,000円から7,500円くらいと国内送金より高額となってきます。

他にも、上述した通り、不動産を相続する場合は、必要書類が増えたり、1億円以上の有価証券等を相続する場合は、国外転出時課税に該当するか確認を行う必要があります。

以上、相続人が国外にいる場合、遺産分割協議書をどのように作成するか、お伝えさせていただきました。

一見すると単純な手続きとなりますが、相続人全員が日本にいる場合に比べて、手間や時間がかかってきます。

また、国外居住者が相続する財産次第で適用される税制が異なってきたり、通常の相続と比べると必要な時間も大きく変わってくることから、このような場合は、専門家に相談してみるのが良いかもしれません。

当事務所では、海外に相続人がいるケースの相続手続きについても解決してきておりますので、もしお困りでしたら、まずは一度ご相談いただければと思います。

《担当:資産税部 太田 遼》

編集後記

とうとう8月に入りましたね。
この業界、8月となると税理士試験が近づき、周りがざわざわしてくるのですが、私もその一人となっております。
今年は、相続税法を受験予定なので、12月の合格発表では皆様に吉報をお届けできるよう頑張って参ります!

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