実践!相続税対策
生命保険金、相続税課税か所得税課税か【実践!相続税対策】第659号
2024.09.04
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
皆様ご存じのとおり、生命保険金には相続税の非課税枠があります。
非課税枠は、500万円×法定相続人の数 となります。
相続人が配偶者と子2人の3人であれば、1,500万円まで非課税となります。
これは全体で1,500万円までであれば、誰がいくらもらっても全額非課税となります。
上記非課税枠を超えた部分は、相続税の課税対象となります。
ただし、配偶者には配偶者の税額軽減(法定相続分あるいは1.6億円のいずれか高い金額まで課税されない)があるので、まだいいのですが、子が受取人の場合はまともに課税されてきます。
そこで、子が非課税枠を超える生命保険の受取人であある場合は、所得税課税でもらう、ということを検討してもよいのかと思います。
たとえば、次のような場合は、相続税課税となります。
・契約者:父 被保険者:父 受取人:子
所得税課税となるのは、たとえば次のような場合です。
・契約者:子 被保険者:父 受取人:子
子が自分が契約をして、自分で保険料を払っていれば、所得税課税になるわけですね。
所得税課税になった場合には、一時所得となります。
一時所得は、次のように計算されます。
一時所得=(保険金受取額-保険料支払額累計ー50万円)×1/2
この金額が、給与所得などに加算されて累進課税となります。
1/2課税ですから、最高税率55%(所得税45%+住民税10%)の人であっても、1/2の27.5%が最高となります。
しかも、支払った保険料も引いてくれますので、その点も有利となります。
相続税課税の方は、相続財産の額によってきます。
まず、相続税には基礎控除があります。
3,000万円+600万円×法定相続人の数 ですね。
それを全体の相続財産から控除した後、各法定相続人の法定相続割合による相続分の額に対して、税率が決まってきます。
1人あたり5,000万円超であれば、30%の相続税率になります。この時点で上記の所得税率の最高27.5%を超えてしまいます。
相続税課税でもらった方が得なのか、所得税課税の方が得なのか、これは相続財産の額、相続人の数、配偶者の有無、もらう方の所得などによって、変わってきます。
生命保険金が、非課税枠を超える場合には、上記をシミュレーションしてみると良いかと思いますね。
なお、相続人が保険料を払うのが困難な場合は、親からの贈与により保険料を支払っていく、という方法もあります。
年間110万円までは、贈与税がかからずに保険料を支払っていくことができますので、相続税対策にもなります。
ただし、生前贈与の相続財産への加算期間が、亡くなる前3年から徐々に7年前に延びていきますので、その点は注意しないといけないですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
先週は台風に翻弄された1週間でしたね。
その影響で予定していた高知に行くのを取りやめてしまいました。
ただ、その後の状況を見ると行っても大丈夫だったな、飛行機も欠航にならなかったな、とちょっと複雑な気持ちです。
おかげで延期した高知に行く予定が、なかなか立たなくなってしまいました...。
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