不動産 税金相談室
相続直前の修繕費用【不動産・税金相談室】
2024.11.12
Q 亡くなった父は、相続の直前に自宅の修繕工事(屋根の補修)をしており、相続発生後、自宅を相続した私が修繕費用を支払いました。相続税申告における自宅家屋の評価や、債務控除の計算に影響はあるのでしょうか。
A 家屋の相続税評価額については、その家屋の固定資産税評価額を基準に計算することとされています。
もしも、増改築や大規模なリフォームを行った場合、家屋の資産価値が上がることとなりますので、固定資産税評価額が改定されて、相続税評価額も上昇する仕組みになっています。
とはいえ、増改築工事などを行って直ちに固定資産税評価額が改定されているわけではないため、通常、固定資産税評価額に修繕費用の70%を加えて、相続税評価額を算出することとなります。
工事前の固定資産税評価額 + 修繕費 X 70%
もちろん、資産価値の上昇を反映して、固定資産税評価額が変更されているのであれば、このような修繕費用の調整は必要ありません。
さて、今回のご質問のケースは屋根の補修工事とのことです。
工事内容は不明ですが、通常の維持管理を目的とした修繕工事については、資産価値が上がるものとは考えられず、修繕費用の70%を加える必要はありません。
元の屋根より価値を高めるような工事でなければ、特に調整することなく、従前の固定資産税評価額により、家屋の相続税評価額を算出すれば良いでしょう。
次に債務控除の問題です。
相続財産から控除できる債務とは、「確実な債務」であることです。
今回のご質問では、亡くなったお父様が生前に発注した工事が完了したものの、相続が発生したために相続人が支払いされたとのことです。
個別の判断にはなりますが、工事が完了している(引渡し済み)のであれば、債務は確定していると考えられますので、債務控除の対象として取り扱って差し支えないと思われます。
ただし、相続発生時点で工事着手前であったり、未完成の状態であれば、工事の状況により判断が分かれる場合がありますのでご留意ください。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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