実践!相続税対策
建築中の建物の相続税評価額ってどうなるの?【実践!相続税対策】第670号
2024.11.20
皆様、おはようございます。
資産税部の太田遼です。
相続が発生したのに、自宅の建て直しが終わってない、そんなことも時としてあると思います。
そうなると、建物の相続税評価については固定資産税の評価額をもとに算定されるため、建築工事中の場合はこの評価額が付与されていないことから、相続税評価をすることができません。
今回から2回に分けて、建築工事中の建物の相続税評価はどのように行うのか?
また、こうした土地に小規模宅地等の特例を適用することはできるのか?
といった点について、お伝えしていきたいと思います。
まず、建物の相続税評価額ですが、前述したとおり、固定資産税の評価額が付与されていないため、すでに建築済みの建物を評価する際における下記の算式を用いることができません。
【建築済みの建物の相続税評価額の計算式】
固定資産税の評価額×1.0=建物の相続税評価額
そのため、建築工事中の建物については、工事にかかった費用の総額(以下、「費用現価」)の70%に相当する金額により、相続税評価を行うこととなります。
また、ここでいう費用原価の金額ですが、対象となる建物の総工事費用に、課税時期(被相続人の亡くなった日)における工事進捗率を乗じて算出するのが一般的です。
この工事進捗率は、建築業者から提出される進捗率証明書等により、確認することになります。
それでは、ここで具体的な数字を当てはめて、建築工事中の建物の相続税評価額を算定してみましょう。
【建築工事中の建物評価額の計算】
<前提>
・総工事費用 6,000万円
・課税時期における工事進捗率 40%
<上記前提における相続税評価額の計算方法>
・ステップ1:工事進捗率に応じた費用現価の算定
6,000万円×40%=2,400万円(費用現価)
・ステップ2:建築工事中の建物の相続税評価額の算定
2,400万円(費用現価)×70%=1,680万円
このように、すでに建築済みの建物と建築中の建物とでは、相続税評価を行う際の計算式が異なりますので、注意が必要です。
なお、費用現価の金額は、被相続人が建築業者に対して支払った金額と必ずしも同額にはなりません。
進捗率に応じて支払うわけではないからです。
この場合、被相続人が建築業者に支払い済みの金額が、費用現価を上回っているようであれば、その差額を「前払金」として、財産に計上します。
逆に、被相続人が建築業者に支払い済みの金額が、費用現価を下回っているようであれば「未払金」として、債務に計上します。
この点、注意する必要があります。
次回は、こうした建物がある際に、土地の評価を減額することのできる小規模宅地等の特例を適用することができるのかどうか。
といった点について解説いたしますので、是非、またお読みいただければと思います。
《担当:資産税部 太田 遼》
編集後記
いつの間にか秋が過ぎ去ってしまい、最近は一気に冷え込んできた気がしております。
そんな時に食べたくなるのは、温かい鍋だったりするのですが、皆様おすすめの鍋はありますでしょうか。
私は断然キムチチゲを推しているのですが、今年は食べたことのない鍋料理を食べて体を内側から温めるとともに、風邪の予防もしていきたいと思います。
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