実践!事業承継・自社株対策
会社が解散した場合の役員退職金【実践!事業承継・自社株対策】第227号
2024.12.05
Q:当社は私1人が取締役の会社で、不動産賃貸業を行っています。後継者がいないため、いずれは事業を廃業しようと、近年不動産を整理してきました。
今期、最後の不動産を売却したので、今期末で解散しようと考えております。
会社を解散した場合は、清算人を選任するとのことですが、私しかいないので私が行うことになります。
今期は不動産を売却したこともあり、かなりの利益が出ております。今期解散することにより代表取締役として退職金を取ろうと思いますが、引き続き清算人をしている場合でもそれは可能でしょうか?
A:可能です。
会社は株主総会の解散決議により、解散することになります。
また、その時点で取締役も全員退任することになります。
したがって、その株主総会において役員退職金の支給決議を行えば、役員退職金を支給することができます。
ご質問のように代表取締役が引き続き清算人に就任する場合においても、取締役と清算人では行う業務がまったく異なるため、取締役としての退職金は認められております。
ただし上記は、代表取締役が非常勤取締役になった場合などの分掌変更の取り扱いと同様と考えられます。
この分掌変更の取り扱いにおいては、会社が退職金を未払金に計上した場合は、その未払金の額は含まれないことになっています。
したがって、ご質問のように今期末で解散し役員退職金を今期に損金に算入するには、次のようにする必要があるかと存じます。
今期の末日に株主総会で解散決議をし、同時に役員退職金の支給決議をした上で、ただちに退職金を全額支払って、決算書には未払金を残さないこと。
そのためには、あらかじめ適正な退職金の額を計算しておくこと、スムーズに手続きができるように十分に準備をしておくことが重要です。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
最近、日経新聞に出ていましたが、後継者がいない企業の割合は52.1%だったとのこと。調査を始めた2011年以降で最も低い数字とのことです。事業承継については様々なメディアで取り上げられ引き継ぎセンターができたり、事業承継税制の特例ができたり、あるいはM&Aが非常に多くなってきたことが要因としてあげられるのでしょうね。
皆様の会社はいかがでしょうか?ただ、まだ半分以上は後継者がいないということですから、まだまだこの問題は解決されたわけではないし、またその次の後継者と考えていくと、なくなる問題ではないのかと思います。
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