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居住用の3,000万円控除と贈与税の配偶者控除【不動産・税金相談室】

居住用の3,000万円控除と贈与税の配偶者控除【不動産・税金相談室】

2024.12.31

Q 我が家の土地と建物は、30数年前に土地を購入し、建築会社に建物を建ててもらっています。その際、土地は夫婦で1/2ずつ共有で購入しましたが、建物は私(夫)がローンをして建てております。

子どもたちは独立して家を出ているため、現在は夫婦2人で暮らしていますが少し広過ぎる感じもしています。当面は売る気はないのですが、この辺りは地価も上がっているため、もしかしたらいずれは売却する可能性もあります。

ローンも終わり建物は償却済みなので、売却した場合は相当の利益が出るのではと思っています。その際は3,000万円控除を使いたいのですが、そのためには妻に建物を贈与しておいた方が良いのでしょうか?

A ご質問のとおり、建築してから30数年経っているのであれば、木造の建物であれば耐用年数も過ぎ、売却収入から控除できる建物の未償却残高はあまりないのではと思います。

そうなると、売却収入から土地の購入価額と売却手数料などを差し引いた譲渡所得に対し、20.315%の税金がかかってきます。

ただし、居住用の不動産であるため、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例を使うことができます。

この3,000万円控除は、居住用の特例ですので、建物を持っている人の譲渡所得から控除することになります。

ご質問者の場合は、ご主人のみが建物を持っているため、ご主人の譲渡所得から3,000万円を控除することができます。

ただし、奥様も一緒に住まわれているので、ご主人の譲渡所得から控除した額が3,000万円に満たない場合は、その満たない金額を奥様の譲渡所得から控除することができます。
すなわち、夫婦合計で3,000万円まで控除できる、ということになります。

2人合わせた譲渡所得が3,000万円以上になると見込まれる場合は、ご質問のとおり奥様に建物を一部贈与しておくことが考えられます。

土地の持分が1/2ずつですから、建物も1/2奥様に贈与しておくと良いのではと思われます。
そうすると奥様も3,000万円控除ができることとなり、夫婦合わせて6,000万円まで控除することができるようになります。

なお、贈与した場合には贈与税の対象になりますが、その課税対象額は建物の固定資産税評価額に贈与する持分割合を乗じた額となります。

この金額が110万円を超える場合には、贈与税がかかってきます。

その際には、贈与税の配偶者控除を使って贈与税の申告をすれば、課税対象額から2,000万円を控除することができますので、贈与税はかからないでしょう。

この特例は、婚姻期間が20年以上の場合に適用することができます。

以上のように売却益がどのくらい見込まれるかによって、建物を贈与するかどうかを決めれば良いのかと思います。

なお、既に売却することが決まっているような場合に、建物の贈与を行うと、課税逃れを疑われる可能性がありますので、贈与をするなら早めに行っておくことをお勧めします。

《担当:税理士 北岡 修一》

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