実践!事業承継・自社株対策
社員への株式の売却【実践!事業承継・自社株対策】第231号
2025.01.09
Q:私は30年前に今の会社を創業して、現在は社員50人程の会社になっております。そろそろ事業承継を考える時期ですが、身内での後継者はいないため、社員に継いでいってもらいたいと考えています。
現在株式は100%私が持っておりますが、幹部社員が10人ほどいますので、彼らに株式を少しずつ売却していきたいと思います。この場合の価格は安い価格で売却することはできますか?
また、株式の一部は私も持っていたいと思いますが、万一相続があった場合に、相続税を低く抑えるためにはどの程度持っていた方が良いでしょうか?
A:ご質問者が100%株式を持っているということで、貴社は同族株主のいる会社、ということになります。
この場合、同族株主以外の者に株式を売却する場合は、配当還元価額で売却することが可能です。
配当還元価額は配当金をいくら出しているかによりますが、年10%程度以内であれば、1株あたりの資本金等の金額(いわゆる昔の額面金額)程度になります。
また、ご質問者の株式評価額を低く抑えるには持株比率(正確には議決権割合)を15%未満に抑えておくとよいでしょう。
この場合の株式の相続税評価額は配当還元価額となり、相続税を低く抑えることができます。
なお、株主全員が15%未満であれば、全員配当還元価額となり、さらにその次の代に承継していく場合や、万が一相続が起こった場合にも対処しやすくなります。
創業者であるご質問者が配当還元価額で売却していくと、いわゆる創業者利潤を得ることはできませんが、30年、40年と長く代表を勤められていれば、それなりの金額の役員退職金を取ることが可能です。
会社をスムーズに承継していくには、そのようなことも考慮に入れながら考えていただければ良いのではないでしょうか。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
あけましておめでとうございます。
もう9日にはなりましたが、新年初めてのメルマガとなります。
このメルマガもあっという間に231号になりましたが、自社株の問題や事業承継の問題は、本当に会社によって様々だと痛感しております。
是非、このメルマガが少しでも皆様の会社のお役に立てればと祈念しております。
本年も本メルマガをご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
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