不動産 税金相談室
小規模宅地の特例と空き家特例の併用【不動産・税金相談室】
2025.01.14
Q 母の相続で取得した土地建物を売却する予定です。
ここは母が亡くなる直前までひとりで暮らしていた自宅でした。
空き家特例の要件に該当することは、事前に確認済ですが、相続の際に居住用の小規模宅地の特例を適用しています。
私は長年賃貸暮らしで、いずれは自宅に戻る予定でしたが、それができなくなり売却することになりました。
相続で小規模宅地の特例を適用しましたが、空き家特例も適用することは可能なのでしょうか。
その場合、注意点などあれば教えてください。
A 結論からお伝えしますと、小規模宅地の特例と空き家特例を併用することは可能です。
適用された小規模宅地の特例は、相続により取得した宅地について、要件を満たすことで、敷地の330m2まで80%評価額が減額される、居住用の小規模宅地の特例(家なき子特例)です。
下記要件を満たすことで、適用可能となります。
・被相続人がひとりで暮らしていたこと、配偶者がいないこと
・相続人が相続開始前の3年間、その相続人、その相続人の配偶者、その相続人の3親等内の親族、またはその相続人と特別の関係のある法人(経営する会社等)が所有する家屋に住んでいないこと
・相続開始時に居住してる家屋を、過去に一度も所有したことがないこと
・相続した宅地を、相続税の申告期限まで所有していること
また、相続税の申告期限まで所有していることも要件のひとつですので、売却をする時期に注意が必要です。
空き家特例の大きな要件としては、次のようなものがあります。
・被相続人がひとりで住んでいた家屋であること
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・マンションではないこと
・相続により土地と家屋の両方を取得したものであること
・相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・売却金額が1億円以下であること
・その家屋が耐震基準を満たしていること、またはその家屋を取り壊して、更地として売却すること
・特別な関係のある人や法人への売却ではないこと
今回、いずれの特例をも適用させるためには、相続税の申告期限までは所有したままで、かつ、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することです。
空き家特例においては、売却した年の翌年2月16日から3月15日の間に、必要書類を添付して確定申告をする必要があります。
市区町村からの確認書が必要になりますので、申告前に慌てないよう、早めに準備をしていくことが重要です。
《担当:税理士 宮田 雅世》
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