実践!事業承継・自社株対策
生命保険金から退職金を支払う場合の純資産評価【実践!事業承継・自社株対策】第234号
2025.01.30
Q:父は現在高齢ではありますが、当社の代表取締役を勤めております。
父の退職金に備え8,000万円の保険金に入っておりますが、死亡退職の場合には同額以上の退職金を出す予定です。
その保険にかかる保険積立金は、4,000万円が貸借対照表に計上されています。
株式の純資産評価における保険金や退職金の扱いは、どのようになるのでしょうか?
A:株式評価における純資産価額評価は、原則として亡くなった時点において仮決算をすることになっています。
ただし、仮決算は手間がかかるため、直前期末の決算における資産、負債をベースに評価を行うことが認められております。
なお、土地や有価証券などの相続税評価額は、亡くなったときの評価額を計算することになります。
代表取締役が亡くなったことにより、生命保険金が支払われる場合は、その生命保険金の額を資産として純資産評価額に入れることになります。
純資産価額評価は、評価明細書第5表で計算しますが、そこには、相続税評価額と帳簿価額を記載することになっています。
ご質問の場合、生命保険金については保険積立金が4,000万円計上されている、とのことです。
これについては、第5表には記載せず、実際に請求する保険金額である8,000万円を、未収生命保険金として相続税評価額と帳簿価額に記載して純資産価額評価を行います。
また、その保険金以上の役員退職金を支給するとのことですので、その金額を負債の部に未払役員退職金として、相続税評価額と帳簿価額に同額を計上することになります。
純資産価額評価は、直前期末の決算を基にした場合でも、上記のように生命保険金や役員退職金の修正を行っていくことになります。
なお、遺族が受け取る死亡退職金は、500万円×法定相続人の数 の金額までは相続税が非課税となります。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
あっという間に1月も終わりに近づきましたね。
ちなみに中国では昨日が元旦とのことで、現在は正月休みのようですね。またまたたくさんの中国の方が来日されるのでは?
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