実践!事業承継・自社株対策
除外合意、固定合意が使えるか?【実践!事業承継・自社株対策】第238号
2025.02.28
Q:私が経営する会社は、将来的に長男に継がせようと思っておりますが、株価が高く贈与により株式を承継していくのは、なかなか難しい状況です。
検討した結果、多少の贈与はしていくものの、相続で大半の株式を承継させるのが良いと思っています。
ただ、子は3人いますので、遺留分の問題が出てきそうです。
先日のQ&Aで除外合意、固定合意の話がありましたが、これを使って、自社株を遺留分の計算から除くことができれば良いのですが、上記のような状況でも可能でしょうか?
A:除外合意、固定合意を行うには、いくつかの要件を満たす必要があります。
主な要件としては、次のようなものがあります。
<会社の要件>
1.中小企業者であること
2.合意時点において3年以上継続して事業を行っている非上場企業であること
<現経営者の要件>
1.過去または合意時点において会社の代表者であること
<後継者の要件>
1.合意時点において会社の代表者であること
2.現経営者からの贈与等により株式を取得したことにより、会社の 議決権の過半数を保有していること
ご質問の状況からすると、会社の要件、現経営者の要件は満たしているのかと思われます。
問題は、後継者の要件です。
除外合意や固定合意をする時点において、後継者が代表になっている必要があります。
さらに、合意の時点において、贈与等で後継者に過半数の株式を渡しておかないと要件を満たすことができません。
この贈与等とは贈与の他、著しく低い金額で譲渡した場合なども含みます。
ご質問によると相続で大半の株式を承継させる、とのことでしたので、この状況では除外合意、固定合意をすることができません。
遺留分対策には、他の方法を考える必要があります。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
遺留分対策はなかなか難しいものがありますね。
遺留分の放棄などもありますが、これはまたハードルが高いのかと思います。
上記のようなケースだと、相続時精算課税などを使って何とか50%超まで株式を贈与した上で、やっていく方法もありますかね。
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