不動産 税金相談室
前年に契約した不動産の売却【不動産・税金相談室】
2025.04.29
Q 昨年、不動産売買の契約を締結し、今年になってから引き渡しと売買代金の精算が完了しました。
来年の確定申告時に申告手続きを行おうと思っていましたが、昨年中に契約した取引は、今年の確定申告で手続きが必要だったのでしょうか。
A 不動産売却による利益(譲渡所得)の申告は、原則として、実際に引き渡しが完了した「引渡日」により判断することとされています。
したがって、引き渡しのあった本年に発生した所得となりますので、来年の確定申告時に申告手続きを行うこととなります。
ただし、契約の効力が発生した「契約日」によることも認められており、今年の確定申告にて申告手続きを行うことも可能でした。
既に今年の申告期限は過ぎていますから、原則どおり、来年の確定申告時期にお手続きしていただければ結構です。
この「引渡日」と「発生日」は申告される方の有利・不利で判断していただいて差し支えありません。
どちらも同じ年であれば問題になることはあまりないのでしょうが、ご質問のように年をまたぐケースでは、いずれの日によるかによって、不動産の所有期間の判定や、各種の特例適用による判定が異なることも考えられます。
例えば、所有期間5年内の「短期譲渡」の場合、その税率は39%(所得税30%住民税9%)となりますが、所有期間5年超の「長期譲渡」であれば、税率が20%(所得税15%住民税5%)と、大きく税率が異なります。※復興所得税を除く
この場合の所有期間は、譲渡した日の1月1日時点で判断しますから、引渡日に譲渡したのか、契約日に譲渡したのかによって、1年間の差が生じることになるのです。
これは、不動産を取得(購入)したときも同様です。
取得日を引渡日にするか、契約日にするのかは、ご自身の有利不利で判断して頂ければ良いわけです。
なお、取得日はより早い「契約日」で、譲渡日はより遅い「引渡日」で計算することもできますので、所有期間を考える上でもご参考ください。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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