実践!社長の財務
収益性・効率性を表わす指標は?【実践!社長の財務】第596号
2015.04.06
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
4月に入りました。でも、先週からちょっと肌寒い感じがしますね。でも今日はこれからどんどん気温が上がってきそうです。
気持ちもどんどん上げていきたいですね!
ということで、本日も「実践!社長の財務」行ってみたいと思います。
収益性・効率性を表わす指標は?
この2回、建設業の経審のことを取り上げています。
半世紀以上に渡って、練られてきた経審の分析指標、重みがあります。
今日は、8項目ある経営状況分析の指標、3番目と4番目です。次回まで経審の指標を勉強します。
前回は負債抵抗力の2項目、まずは、つぶれにくい企業かどうか、ということでした。
次の2項目は、収益性・効率性についての項目です。
これには、総資本売上総利益率と売上高経常利益率の2つがあります。
まずは、総資本売上総利益率。これは次の計算式です。
売上総利益
総資本売上総利益率 = ───────── × 100
総資本(2期平均)
売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた粗利益です。
企業の利益の源泉、といってもいいですね。
総資本は、貸借対照表の一番下の数字、資産の合計値であり、負債および資本の合計でもあります。
いわば、企業で活用している資産(資本)の総合計ということです。
この指標は、企業で使っているすべての資産(資本)から、どれだけ粗利益を生み出せたか、ということです。
いわば資産(資本)活用の効率性を表わしています。
したがって、高ければ高いほど優良である、ということになります。
経審では上限が、63.6%となっています。それ以上は、最高点ということです。
目安としては、35%以上であれば、優秀な企業ということころでしょうか。
総資本と売上総利益を対比させるのは、めずらしい指標だなと思います。
一般的な指標では、ROAといって総資産利益率を使うことが多いですね。この場合の利益は、当期純利益を使います。
総資本を使って、いくらの最終利益を生み出したか、いわば企業に投下された資本の利回りを表わす指標でもあります。
経審で売上総利益を使っているのは、販管費とかを入れずに、工事そのものからどれだけの付加価値を生み出しているか、という工事そのものに注目して評価しよう、ということなのでしょうね。
同じ業種を比較するわけですから、その方が判断しやすいということなのでしょう。
さて、収益性・効率性のもう1つの指標は、売上高経常利益率です。これは一般的にも非常になじみの深い指標ですね。
書くまでもありませんが、これは次の計算式になります。
経常利益
売上高経常利益率 = ────── × 100
売上高
経常利益は、企業の経常的な活動による利益であり、企業の実力を表わす利益です。
何種類かある利益の中でも、企業を評価するのに最も使われる利益です。正に経常利益率は、企業の収益性を最も的確に表している指標といえます。
経審では、この上限が、5.1%となっています。すなわちそれ以上は最高点ということですね。
建設業は、粗利益が他の業種に比べると低くなっていますので、経常利益率も低いところが多いです。2~3%もあれば良いように言われます。
ただ、5.1%で最高点というのは、ちょっと低いような気がしますね。私も所属している盛和塾(稲盛塾長)では、「どんな業種であっても経常利益率は10%以上を目指せ。そうでないと経営とは言えません。」という厳しい教えを受けています。
ですので、盛和塾の建設業は5.1%どころか、10%を目指してやっていますので、若干低いと感じてしまいますね。
近年は国交省の方でも、利益の見方はちょっと変わってきているようです。もしかしたらもう少し上がるのかも知れません。
ということで、今回は収益性・効率性の項目でした。
来週、あと1回、経審の指標を取り上げてみます。
編集後記
確定申告後、税務調査が増えてきました。税務署の年度末6月に向け、最後の追い込みということです。数合わせの調査なんかも増えてくるのでは?と思いますね。今日もこれから調査立会いに行ってきます。私たちは結構慣れてしまっていますが、顧問先にとっては、数年に一度の一大事!その感覚を共有していないといけないなあ、と思います。
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