不動産 税金相談室
譲渡時期と固定資産税 【不動産・税金相談室】
2020.01.17
Q 私が所有する不動産について、昨年12月に譲渡契約を締結し、本年1月に引渡しが完了しました。
この場合、譲渡所得に対する税金は、前年または本年いずれの年分の申告をすれば良いのでしょうか。
また、本年分の固定資産税は、私が納付することになるのでしょうか。
A 不動産の譲渡は、原則として引渡日によることとされておりますが、契約日によることを納税者が選択した場合には、それを認めています。
したがって、原則的には引渡日である本年分の申告(来年3月15日期限)となるものの、選択によっては契約日である前年分の申告(本年3月15日期限)とすることができます。
譲渡所得の計算では、所有期間が5年超か否かによって、長期譲渡所得(税率20%)か、短期譲渡所得(税率39%)かを判定しなければなりません。
これは、譲渡した年の1月1日時点の所有期間によって、判定することになります。
5年ギリギリのタイミングでの売却であれば、前年の契約日か、本年の引渡日かによって、短期・長期の判定が異なる結果となる可能性がありますので、注意が必要です。
また、居住用の軽減税率など、特例の種類によっては所有期間の判定を伴う場合があります。これも1月1日時点での所有期間によりますので、譲渡の時期によって、特例の適用にも影響を及ぼすかもしれません。
所有期間や他の所得の状況などを踏まえて、いずれの年分で申告をすべきか十分にご検討をいただきたいと思います。
ところで、固定資産税については、1月1日時点の所有者を納税義務者としていますが、これは登記上の所有者となります。
不動産の売買契約書において特別に条件などを付していなければ、通常は引渡しによって所有権が移転することとなりますから、ご質問のケースでは、本年1月の引渡し時に登記上の所有者が変更されるものと思われます。
そのため、本年分の固定資産税の納税義務者は、本年1月1日時点の所有者であるご質問者になります。
ただし、不動産売買の慣例では、売買時において固定資産税を日割り計算して精算することが一般的ですから、実質的な所有期間に応じた負担となるよう、売主・買主間で調整されるのではないでしょうか。
なお、固定資産税の精算金については、売買価額に含めて譲渡所得の計算をする必要がありますので、ご注意ください。
《担当:樋口》
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