不動産 税金相談室
共有で相続した空き家の譲渡 【不動産・税金相談室】
2020.01.31
Q 父の相続により、亡くなる直前まで住んでいた家屋が空き家になりそうです。
今後は誰も住まなくなりそうなので、売却を検討しています。
相続人は兄弟2人ですが、空き家譲渡の特例を適用するにあたり、相続で注意する点などありますか。
A お父様が亡くなる直前まで一人暮らしされていた不動産を売却する場合は、いくつかの条件を満たすことで、譲渡所得から 3,000万円の控除ができる特例の適用を受けることができます。
適用要件は大きく分けると、期間要件・家屋要件・売却要件です。
適用期間については、相続してから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することです。
また、この特例の適用期限は2023年12月31日までとなっています。
家屋には次の要件があります。
○ 昭和56年5月31日以前に建築されたもの
○ 区分所有建物登記がされている建物以外であること(マンションなどは不可)
○ 被相続人が亡くなる直前まで一人で暮らしていたこと(改正により老人ホーム等に入居していた場合も可能となりましたが、細かな条件あり)
○ 相続により土地および家屋を取得すること
○ 相続時から売却時まで貸付けたり、親族の居住の用に供されていないこと
そして、譲渡する際の要件としては、売却価格が1億円以下であること。
耐震リフォームをして売却するか、建物を取り壊して売却するかのいずれかであること、です。
これらの条件を満たし、3,000万円特別控除を適用できそうであれば、兄弟の共有で相続するのがよいでしょう。
共有で相続した場合の 3,000万円特別控除は、一人ひとりに適用可能となるからです。ただし、二人とも土地と建物の両方を相続することが前提です。
どちらか一方が土地のみ、どちらか一方が建物のみといった遺産分割の内容であると、この特例は適用できません。
また、建物を兄弟で共有し、土地を兄のみ取得とした場合は、土地と建物の両方を相続した兄しか、この特例を適用できません。
したがって、相続でどのように取得するかによって、譲渡所得税額に大きく影響しますのでご注意ください。
共有で相続した場合、上記に示した売却要件にある1億円判定は、全体で判定します。
たとえば、売却価格が1億5千万円だった場合この特例は適用できません。
空き家譲渡の特例には、期間要件、家屋要件、売却要件など細かな要件が多数あります。
また、確定申告書にあわせて税務署へ提出する書類もいくつかありますので適用する際には、事前に専門家に相談されることをおすすめします。
《担当:宮田》
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