不動産 税金相談室
海外不動産の相続と評価【不動産・税金相談室】
2020.04.17
Q 父が亡くなり、相続税申告の準備をしておりますが、海外に所有している不動産(現地法人に賃貸)については、相続財産に含まれるのでしょうか。
なお、父も私も日本国籍であり、国内に居住しています。
A 日本国内に住所を有している方が亡くなった場合、日本を含む全世界の財産が相続税の対象となります。
ご質問いただきました海外不動産についても、相続財産に含め相続税の申告を行う必要があります。
国内にある不動産の場合は、税務上の評価方法にしたがって、その不動産を評価することになりますが、海外不動産については税務上の評価方法をそのまま使用することができません。
そのため、売買実例価額や精通者意見価格等を参考に、評価することとなりますが、現地の専門家等に依頼して、不動産鑑定評価を出してもらうケースも多いです。
国内の不動産であれば、当然に考慮される、貸地や貸家建付地の評価減などは、あくまでも日本国内における、税務上の評価方法によるものですから、海外不動産には適用されません。
注意したいのは、日本の相続税申告ですから円換算が必要となることです。
この場合、原則として相続発生日における、対顧客直物電信買相場(TTB)によることとされています。
海外不動産の譲渡所得や、不動産所得・事業所得の計算では、対顧客直物電信売相場(TTS)とTTBの仲値である「TTM」を用いることが原則ですので、円換算に使用するレートに、気を付けなければなりません。
また、不動産の相続において必要不可欠な「小規模宅地等の特例」については、海外不動産にも適用されますので、お忘れのないように、チェックするようにしましょう。
ご質問のケースでは、不動産を賃貸されているようですので、貸付事業用宅地として、小規模宅地等の特例の対象となる可能性があるでしょう。
なお、所有している国によっては、その所在する国の相続税の対象となることも考えられます。
所在する国との、租税条約の内容によっても異なりますが、海外で支払った相続税については、日本の相続税申告にて「外国税額控除」として、一定額を控除されることとなります。
《担当:樋口》
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