不動産 税金相談室
増改築と住宅取得資金贈与について【不動産・税金相談室】
2021.06.25
Q 私名義の自宅に両親が同居することとなり、増築を検討しています。
増築資金は父が負担することになりますが、税務上の問題は生じるでしょうか。
A 建物を増築する場合、法律上その増築部分の所有権は既存建物の所有者が取得するものと取り扱われるため、留意しなければなりません。
つまり、お父様が負担する資金により、ご相談者の建物の価値が増加することになりますので、お父様からご相談者への贈与となるのです。
そのため、贈与税を避けるには、ご相談者が所有する増築前の建物の時価とお父様が負担する増築費用に応じて、自宅建物の持分を変更する必要があります。
増築前の建物の時価が 1,000万円であり、増築費用が 1,000万円の場合、ご相談者とお父様の持分が2分の1ずつとなるよう、登記を変更するわけです。
その際、ご相談者は移転する持分を譲渡したものとして、取り扱われることになりますが、通常は、譲渡収入が発生する一方で増築部分の取得費も発生することから、譲渡所得が生じないケースが大半です。
仮に、譲渡所得が生じる場合には、親族間の譲渡に該当するため 3,000万円特別控除などの居住用の特例が適用されませんので、ご注意ください。
ところで、ご質問のような場合には、住宅取得資金贈与の非課税特例を利用することを考慮されても良いでしょう。
この場合、お父様が増築費用を直接負担するのではなくその資金を住宅取得資金として一旦ご相談者へ贈与しご相談者名義で増築することとなります。
増築であっても、住宅取得資金贈与の非課税特例を受けることができますので、相続税対策といった観点も含めて、検討されてはいかがでしょうか。
《担当:税理士 樋口智勇》
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