不動産 税金相談室
会社が経営者個人に借地を返還する場合【不動産・税金相談室】
2021.11.05
Q 経営者個人が所有する土地を賃借して、会社が建物を建てて営業していましたが、この度、別な場所に移転することになりました。
そのため、会社は借地を経営者個人に無償で返還することを検討しています。この場合は税務上、問題があるでしょうか?
A 会社は土地を賃借しているわけですから、借地権を持っていることになります。
この借地を返還するにあたって、立退料を授受する慣行がある地域において、会社が借地を無償で個人に返還した場合には、個人は借地権の価額に相当する「経済的な利益」を受けたことになります。
したがって、この場合には原則として、一時所得または給与所得として、経営者個人に所得税が課税される可能性があります。
地主がその会社の役員であれば、給与所得となります。
この場合には、臨時的な給与所得ですので役員賞与になります。
役員賞与の場合には、所得税が課された上、会社の損金には算入されませんので、法人税負担も出てきます。
ダブルで税金がかかってくる形ですので、借地の返還は慎重に検討する必要があります。
なお、借地の返還に際して、立退料を収受しないことについて次のような相当な理由があると認められる場合は、課税されません。
1.借地権等の設定に係る契約書において、将来借地を無償で返還することが定められていること
2.当該土地の使用の目的が、単に物品置場、駐車場等として、土地を更地のまま使用し、または仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として、使用していたものであること
3.借地上の建物が著しく老朽化したこと、その他これに類する事由により、借地権が消滅し、または、これを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと
以上の状況なども加味した上で、借地をどのように返還するのか、慎重に検討されることをお勧めします。
《担当:税理士 北岡 修一》
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html