不動産 税金相談室
被相続人と同族会社の土地使用貸借【不動産・税金相談室】
2022.06.03
Q 私はコンピュータ関連の会社を経営しています。
父が所有している土地を借りて、事務所を建設しました。
その土地の地代として、固定資産税相当額を父に払っていました。
この度、父が亡くなり、その土地を私が相続することになりました。
事業に使用していた土地は、事業用の小規模宅地の評価減が、受けられると聞いていますが、この場合は受けられるのでしょうか?
A 地代の支払額が固定資産税相当額程度の場合には、使用貸借の扱いになります。
この場合は、適正な地代で土地の貸付が行われているとは言えないため小規模宅地等の特例を受けることができません。
被相続人が所有していた土地等を、被相続人とその親族で 50%超の株式を保有している会社の事業の用(貸付事業を除く)に供されている場合には特定同族会社事業用宅地等となります。
その土地を、その会社の役員である相続人が相続して経営を続けた場合には、400m2まで 80%の評価減を受けることができます。
この特例を受けるためには、土地の貸付が適正な地代を得た賃貸借契約になっていなければなりません。
また、その土地の相続税評価額は賃貸借契約ではありませんので、貸宅地として評価減を受けることはできず、自用地評価となります。
なお、権利金を支払わずに他者の土地に建物を建てると、借地権の問題が生じます。すなわち、会社側に借地権の認定課税が行われる可能性があります。
これを防ぐためには、本来は「土地の無償返還に関する届出書」を提出しておくべきです。
ただし、現時点では既に相続が発生しているとのことですので、このまま会社は借地権を有せず、土地は自用地評価として申告することになるかと思います。
相続後は契約を明確にし、必要であれば上記届出書を出しておくことをお勧めします。
《担当:税理士 牛嶋 洋一 》
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