不動産 税金相談室
個人から法人への贈与(みなし譲渡)【不動産・税金相談室】
2022.07.01
Q 私は、自身が経営している法人の事務所が手狭になってきたため、よい事務所をを探していました。
ちょうど私個人で所有している物件が立地もよかったため、これを法人に贈与して利用できないか、検討を始めました。
この場合、やはり贈与税が法人に課せられるのでしょうか。
A 法人に贈与税が課せられることはありません。
贈与税は、個人間での贈与のみに課せられる税金であるからです。
ただ、法人は無償で不動産を取得していることから、受贈益を認識する必要があります。
その受贈益として認識すべき金額は、その不動産を取得した時の時価となります。その上でこの受贈益に対し、法人税が課せられることになります。
また、個人から法人への贈与の場合、さらに気をつけなければいけないことがあります。それは、みなし譲渡です。
みなし譲渡とは、個人が法人へ無償または著しく低い価額で、資産の譲渡をした場合には、譲渡時の時価でその資産が譲渡がされたものとみなし所得税が課せられる、というものです。
つまり、実際には無償で譲渡していても、その時の時価で譲渡したということになります。
個人は、資産を譲渡し手許に何も残らない状態で、さらに時価で譲渡した場合に相当する所得税を支払う必要があるということになります。
本来であれば、資産の譲渡で資金の取得がないことから担税力がないようにも思いますが、この考え方は担税力というより個人の財産価値を法人に移す際、そこで一度清算するというものです。
まとめると、法人に贈与税は課せられませんが不動産時価に相当する金額を受贈益として所得に加算し、法人税の計算をする必要があります。
一方、個人は不動産時価に相当する金額を、譲渡収入として所得税の計算をする必要があります。
ダブルで税金がかかってきますので、個人から法人への不動産の無償譲渡はあまりお勧めできるものではありません。
《担当:税理士 青木 智美 》
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