不動産 税金相談室
相続により取得した不動産の譲渡所得計算【不動産・税金相談室】
2022.10.14
Q 私は、父から10年以上前に相続で譲り受けた自宅を、このたび買換えることにしました。
自宅の購入時の資料は一切なく、売却価格は6,000万円で、新しく購入する自宅は6,000万円となる見込みです。
引っ越し費用も安くはないため、譲渡で支払う税金はなるべく少なくしたいと考えております。
居住用財産の3,000万円控除の適用を考えておりますがいかがでしょうか。
A 確かに、居住用財産を譲渡した場合の節税策として居住用財産の3,000万円控除は、必ず選択肢に上がってくる制度です。
ご相談者様の場合、売却価格の6,000万円から概算取得費の5%を控除し、さらに3,000万円控除を適用しても3,000万円近くの譲渡所得が出てしまう計算になります。
所有期間10年超の軽減税率14%を適用しても、約400万円程度の税金が見込まれます。
今回のように、購入金額が不明な(低い)自宅を売却し、売却価格よりも高いあるいは同額程度の自宅を購入する場合には『特定の居住用財産の買換えの特例』も検討してみてください。
この特例が適用できる場合は、売却価格6,000万円から購入価格6,000万円を控除することができ、譲渡所得が発生しません。
よって、税金の支払いもありません。
この特例を適用するための要件は3,000万円控除より次の要件が増えます。
○譲渡資産の所有期間・居住期間が10年超であること
○譲渡価格が1億円以下であること
○購入する自宅の建物床面積が 50m2以上、土地の面積が 500m2以下 など
あとは、ほぼ居住用財産の3,000万円控除と同じ要件になります。
なお、この特例の注意点は、今回購入した自宅を売却するときの取得費は、基本的に、今回売却した資産の取得費を引き継ぐことになります。
つまり、新自宅の取得費は、旧自宅の取得費となるということです。
この記録は税務署にずっと保管されることになるため、今回取得した自宅を売却する際は、取得費として6,000万円を利用しないように注意しなければなりません。
この買換え特例は、新自宅を売却するまで、今回の売却益の課税が繰延べられている、ということです。
なお、適用にあたっては、細かい要件を国税庁のホームページなどで再度確認するようにしてください。
《担当:税理士 青木 智美》
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