不動産 税金相談室
マンション建替え等円滑化法の適用を受ける場合【不動産・税金相談室】
2022.11.25
Q 私が現在居住しているマンションは築50年超で、耐震性に不安があるため、管理組合にてマンション建替え等円滑化法に基づく建替え事業を検討しているようです。
建替えにより現在保有している区分所有権は、新マンションの区分所有権に変換されると聞きましたが、譲渡所得は発生するのでしょうか。
また、建替え事業に賛成せず転出する場合はどのような課税がされるのでしょうか。
なお、私はこのマンションを10年超保有しています。
A マンション建替え等円滑化法の適用を受けた建替え事業で新マンションの区分所有権を取得した場合、譲渡所得は原則として発生しません。
これは、旧マンションの区分所有権と、新マンションの区分所有権の権利変換を受けた場合は、資産の譲渡が無かったとみなされるためです。
ただし、権利変換時に清算金を受領した場合は、変換前資産のうち、その清算金に対応する部分は譲渡があったものとされ、譲渡所得が発生しますので注意が必要です。
具体例を以下に示します。
(1)旧マンション(変換前資産)の権利変換時における価額・・・4,000万円
(2)旧マンション(変換前資産)の取得費・・・3,000万円
(3)新マンション(変換後資産)の権利変換時における価額・・・3,000万円
(4)清算金・・・1,000万円
(5)譲渡があったものとされる金額
(1)×(4)/((3)+(4)) = 1,000万円
(6)旧マンションの取得費(2)のうち、譲渡があったものとされる部分
(2)×(4)/((3)+(4) = 750万円
となり、譲渡所得は(5)-(6) = 250万円 となります。
なお、現に居住されているマンションですので、居住用財産の3,000万円特別控除の適用を受けることで、譲渡所得はゼロとなります。
また、建替え事業に賛成せず転出する場合は、マンション建替組合に時価で譲渡することになります。
この場合は通常どおり、譲渡収入から取得費・譲渡費用を控除して譲渡所得を計算します。
ご照会の事例では、計算された譲渡所得から居住用財産の 3,000万円特別控除を引き、残額があれば、6,000万円まで軽減税率14.21%が適用されます。
仮に、10年超保有していない場合でも、5年超保有の長期譲渡所得であれば2,000万円以下は軽減税率14.21%が適用される特例もあります。
一般的にマンション建替え事業が行われる際、住民説明会等で税金の取扱いも含めた説明がなされるかと思われますので、まずは説明会で不明点を確認いただき、その上で税理士等の専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。
《担当:税理士 藤井 裕生》
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