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令和5年度税制改正の影響(空き家に係る 3,000万円特別控除)【不動産・税金相談室】

令和5年度税制改正の影響(空き家に係る 3,000万円特別控除)【不動産・税金相談室】

2022.12.30

Q 令和4年に母親が亡くなり、現在、相続人間で遺産分割の協議を行っています。母親は亡くなる直前、自身が所有している一軒家で、一人暮らしをしていました。

このような場合、一定の要件を満たせば、相続した不動産を譲渡したときに譲渡所得から 3,000万円特別控除を受けられる、と聞いています。

最近、令和5年度の税制改正で、一部取扱いが変わる可能性があると聞いたのですが、具体的にどのような影響が見込まれるのでしょうか?

なお、私は三人兄弟で、相続人は3人です。

A 令和5年度の税制改正大綱にて、空き家に係る譲渡所得の 3,000万円特別控除に、概略以下の変更を行うことが示されています。

(1) 相続により取得した家屋または土地の一定の譲渡をした場合において、当該家屋が、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに、以下に該当するときは、この特例を適用できることとする。

イ 耐震基準に適合することとなった場合
ロ 家屋全部の取壊しもしくは除却がされ、またはその全部が滅失した場合

(2) 家屋および敷地を取得した相続人の数が3人以上の場合は、特別控除額を2,000万円とする。

その他、所要の措置を講じた上で、令和6年1月1日以後に行う譲渡に適用することとされています。
 
(1)は従前、譲渡前に行う必要があった改修や取壊しについて、譲渡後でも可能とする改正で、納税者有利な変更といえます。

一方、(2)は従前、相続人の数によって控除額の取扱いに差はなかったことを考えると、納税者に不利な変更といえます。
 
ご照会の事例との関係では、相続人が3名とのことですので、兄弟全員が共有持分を取得することとなる場合は、注意が必要です。

分割協議が円滑に進み、令和5年中の譲渡となった場合は、各々3,000万円の特別控除受けられるのに対して、分割協議が難航し、令和6年以降の譲渡となった場合は、各々 2,000万円までの特別控除となります。

その他の家屋の要件や、譲渡対価の要件等には、変更がありませんでしたので、適用を検討される際は、改正項目以外の適用要件にもご留意いただければと思います。

詳細な要件の記載は、省略させていただきますが、適用検討にあたって不安がある場合は、税理士等の専門家に事前にご相談ください。 

《担当:税理士 藤井 裕生》

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