不動産 税金相談室
低未利用土地等を譲渡した場合(令和5年税制改正) 【不動産・税金相談室】
2023.04.07
Q 私は、令和5年中に、現在保有している空き地の売却を検討しています。
買主候補である不動産会社から、都市計画区域内の空き地を売却した場合に譲渡所得計算上の特例があると聞きました。
具体的には、どのような特例の適用が検討できるのでしょうか。
譲渡価格は 700万円で交渉しており、不動産会社は取得後、当面の間コインパーキングとして利用するようです。
A 空き地や一時的な資材置き場などの、いわゆる低未利用土地が、都市計画区域内に所在する場合、一定の要件を満たすことで、譲渡所得から100万円の特別控除を受けられる特例があります。
この特例の適用に当たって、充足すべき主な要件は、以下のとおりです。
○ 譲渡年の1月1日時点で、所有期間が5年超あること
○ 譲渡先が、配偶者や一定の親族など、特別の関係がある者でないこと
○ 譲渡価格が、500万円以下であること
○ 譲渡後にその土地が、低未利用土地以外として利用されること
○ 土地所在地の市区町村から、低未利用土地等確認書の交付を受けること
など
また、令和5年税制改正で、以下の改正が行われました。(令和5年1月1日以後の譲渡に適用)
○ 適用期限を、令和7年12月31日まで延長
○ 市街化区域等の一定区域内にある、低未利用土地の譲渡価格を800万円以下とする
○ 譲渡後の利用用途から、コインパーキングを除外する
ご照会の事例では、譲渡価格700万円で交渉中とのことですので、上記改正で明記された市街化区域等の一定区域に所在する土地であれば、譲渡対価の要件は満たすこととなります。
ただし、取得を検討している不動産会社が取得後当面の間コインパーキングとして利用する場合は、改正で制限された利用用途に該当するため、本特例の適用を受けることが困難と考えられます。
本特例の特別控除額は100万円で、所得税と住民税を合わせた譲渡税額への影響は約20万円となります。
買い手候補が限定的な場合や、早く売りたい事情がある場合などは、税金面のメリットのみにこだわらず、譲渡価格などの経済条件面も考慮に入れて、総合的に判断することが重要と考えます。
なお、市区町村に対する確認書申請は通常3週間程度掛かるようですので、適用を希望する場合は、確定申告期限前に慌てないよう、早めに申請に必要な書類の準備を進めるようご留意ください。
市区町村に対する申請手続きや特例の細かい適用要件など、上記で記載しきれなかった事項がありますので、実際に適用検討する際は、事前に税理士等の専門家にご相談されることをおすすめいたします。
《担当:税理士 藤井 裕生》
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