不動産 税金相談室
空き家の3,000万円特別控除の改正はいつから?【不動産・税金相談室】
2023.04.28
Q 昨年末に亡くなった母親が一人住まいしていた実家の土地建物を、令和5年中に売却する予定です。
この売却にあたって、空き家の3,000万円控除を適用したいと考えています。
相続税申告の関係上、売却は12月頃の契約、1月以降の引渡しを予定しています。
また、令和5年の税制改正で、空き家の3,000万円控除を適用する場合、買主の方で建物を取り壊す場合も対象になるとのことで、そうしたいと考えています。
この場合、空き家の3,000万円控除は適用できるのでしょうか?
A 申告の仕方によって、適用できる場合と、できない場合があります。
空き家の3,000万円特別控除の特例は、様々な要件がありますが、その1つに、譲渡する前に譲渡をする側が耐震工事をして耐震基準を満たすか、空き家を取壊してから譲渡する必要がありました。
この点について、令和5年度税制改正により、譲渡後に譲受け側が耐震工事をしたり取壊す場合も、特例の対象になることとなりました。
この耐震工事や取壊しは、譲渡した年の翌年2月15日までに行えばよい、ということになっています。
ただし、この改正は令和6年1月1日以後の譲渡から適用されることになります。
ご質問のケースは、その適用日をまたぐ譲渡となるので、注意が必要です。
譲渡所得を申告する際の譲渡日は、納税者の選択により「契約日」か「引渡日」のいずれかとすることができます。
ご質問のケースで、「契約日」を選択した場合は、令和5年改正前の税制が適用されることになり、譲渡側で取壊しを行わなければなりません。
したがって、ご質問のケースでは空き家の3,000万円特別控除は、適用できないことになります。
譲渡日を「引渡日」とした場合には、令和6年1月1日以後の譲渡となりますので、空き家の3,000万円特別控除の適用を受けることができます。
なお、この場合は令和7年の3月15日期限の申告となります。
改正の対象となる譲渡が、いつからの譲渡になるのか。
注意しておかなければなりません。
《担当:税理士 北岡 修一》
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