不動産 税金相談室
建設協力金を用いた土地の有効活用 【不動産・税金相談室】
2023.05.19
Q 私は、相続で取得した幹線道路沿いの土地の有効活用を考えています。
活用方法を調べたところ、定期借地権を設定して土地を貸す方法のほかに、建設協力金方式というものがあることを知りました。
建設協力金方式を用いた場合の賃貸経営面のメリット・デメリットは、付き合いのある不動産会社に確認しようと思うのですが、税務面でのメリットや留意点を教えてもらえないでしょうか。
A 建設協力金方式では、一般的にコンビニや飲食店などの商業テナントが、建物の建設資金を建設協力金として土地所有者(オーナー)に差し入れ、オーナーはその資金で建物を建設し、商業テナントに賃貸する形式を採ります。
賃貸開始後に、建設協力金は保証金に振り替えられ、オーナーは月額賃料から保証金の月次返還額を差し引いた差額を毎月受け取ることになります。
このような建設協力金方式の税務面のメリットと留意点に関して、相続税と所得税の観点からまとめると、概要は以下のとおりです。
まず、相続税では、土地は貸家建付地、建物は貸家として評価されますので、有効活用をしない場合の自用地評価よりも、財産評価上、有利になります。
加えて、未返還の保証金は、債務控除の対象となりますので、相続税計算における課税価格を圧縮する効果があります。
次に、所得税では、商業テナントへの賃貸に伴い不動産所得が生じることになりますが、収入金額は保証金と相殺する前の金額で認識する必要がある点に、注意が必要です。
実際に入金された金額のみを追っていると、収入金額が過少になるため、しっかりと契約内容を確認の上、所得計算を行うようにしてください。
そのほか、賃貸借契約の中途で商業テナント側から解約がなされた場合に、オーナーの保証金返還義務が免除される規定があるときは、免除された保証金について、経済的利益を受けたものとして取り扱われます。
この経済的利益は、一時所得でなく、不動産貸付に付随して生じた所得として不動産所得になると解され、原則として返還が不要となった年の所得として認識する必要があります。
ただし、一定の条件を満たしていれば、臨時所得として平均課税の適用を受けることで、税負担の軽減を図ることが可能な場合もあります。
建設協力金方式は、当初テナントが退去したときのリーシングや建物代替活用が難しい場合もありますので、賃貸経営面のリスクについても不動産 会社としっかり話し合うことをおすすめいたします。
《担当:税理士 藤井 裕生》
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