不動産 税金相談室
不動産売却の相談 【不動産・税金相談室】
2023.07.11
Q 2018年4月に3,200万円で購入した不動産を2023年8月に3,300万円で売却することを検討しています。
購入時および売却時には、仲介手数料がそれぞれ 100万円ほど発生しますが、この場合、確定申告を行う必要はあるでしょうか。
A 普段、多くのお客様からご質問のような相談内容をいただきますが、不動産売却にかかる税金計算は、案外、手間や情報を必要とします。
今回のご質問は「よくある」内容ではありますが、これだけでは正しく判断することができないのです。
不動産の売却にかかる計算(譲渡所得の計算)の基本は、次のとおりです。
●収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用 )= 譲渡所得
特例などを適用される場合もありますが、基本的にはこの計算方法により譲渡所得が発生するのであれば、確定申告をして税金を納める必要があります。
質問内容を、計算式にあてはめると以下のようになります。
3,300万円 -(( 3,200万円+100万円)+100万円 )= △100万円
一見すると所得がマイナスとなるため、申告は必要ないように思われますが、質問にある「不動産」の全部または一部が建物である場合には、取得費の計算において「減価償却費相当額」を、差し引かなければなりません。
3,300万円 -(( 3,200万円+100万円-“償却費”)+100万円)= ?
今回のご質問は不動産というだけで、建物の有無に関する情報がありませんから、減価償却費相当額が判明せず、申告の要・不要が判断できないこととなるわけです。
不動産の売却といっても、土地のみの取引であるのか、建物を含む取引であるかによって、計算方法や確認事項は異なるものとなりますので注意が必要です。
さて、今回の質問ではもう一つ注意したい点があります。
不動産の譲渡所得は、所有期間5年以内の短期譲渡と、5年超の長期譲渡で税率が異なりますが、この所有期間は「不動産を売却した年の1月1日時点」で判定することとされています。
ご質問では、2018年4月の取得から2023年8月の売却まで、通算「5年超」の所有期間が見込まれますが、売却した2023年1月1日時点で判定すると「5年以内」となってしまうため、短期譲渡の税率が適用され
ます。
短期譲渡 39.630%(所得税 30.0%、復興税 0.630%、住民税 9.0%)
長期譲渡 20.315%(所得税 15.0%、復興税 0.315%、住民税 5.0%)
短期と長期の税率は、このように2倍ほどの差がありますので、税負担が見込まれるようであれば、売却の時期について再検討をいただいても良いのかも知れません。
《担当:樋口 智勇》
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