不動産 税金相談室
不動産を換価分割した場合の税金【不動産・税金相談室】
2023.09.05
Q 父が亡くなり、父が長年暮らしていた自宅を売却しました。
遺産分割協議書には、換価分割を前提に、長男である私が代表となって手続きをし、売却後に売却代金から諸費用を控除した残金を、他の相続人2人に3分の1づつ分配するという記載をしました。
相続税はかからないということで、登記をしてもらった司法書士に遺産分割協議書を書いてもらいましたが、売却代金を他の2人と分けるだけで良いのでしょうか。この場合の譲渡税はどのようになるのでしょうか?
A 遺産分割協議書は、換価分割による方法で記載されているものと思われます。
これは、相続財産を売却して、その代金を相続人で分ける方法です。
売却代金から、売却手数料を控除し、それを3分の1づつ、他の2人と分けます。相続税はかからないとのことですが、不動産を売却することで、譲渡所得税が発生する場合があります。
譲渡所得税は、不動産の売却代金から、不動産の取得費、売却手数料などを控除した金額がプラスの場合にかかってきます。
お父様が長年暮らしていたとのことで、不動産の所有期間が5年を超えていると思われますので、長期譲渡となり売却益に対して 20.315%(所得税と住民税)の税金がかかります。
不動産の場合、名義を変更しないと売却ができないため、相続した人の名義を登記します。今回の場合は、代表者である長男様の名前だけを登記して、売却手続きをしたのではないかと思われます。
ただ、実際は、不動産は相続人3人が共有で相続しています。
その後、売却しているため、譲渡所得の申告は代表者1人が申告するのではなく、3人がそれぞれ行う必要があります。
上記の利益を3等分した金額に、税率をかけた金額が、それぞれの譲渡所得税となります。
なお、お父様が居住していた家屋が、お父様の死後空き家になっている場合は、一定の要件を満たすことにより空き家の 3,000万円特別控除の特例を、3人がそれぞれ受けられる可能性があります。
この特例を受けるためには、様々な書類を用意しなければなりませんので、その点も含め専門家である税理士に相談した上、不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までに、譲渡所得税の申告を行う必要があります。
《担当:税理士 宮田 雅世》
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