不動産 税金相談室
固定資産の交換と居住用財産の交換【不動産・税金相談室】
2023.09.12
Q 私は、借地権の設定された自宅を所有しています。
地主から底地と借地を交換してほしいとのお話しをいただきました。
ただ、交換後、地主はマンションを建築するそうで、按分する面積を広くほしいとの希望があり、その分きちんとお金を支払うとのことでした。
私としては、交換の特例を使いたいと思いましたが、交換の場合にお金を多くもらうと特例の適用ができないといわれましたが本当ですか。
A ご相談者様が、『固定資産の交換の特例』の適用を検討されている場合、要件を満たさず、適用を受けることができない可能性があります。
この交換特例では、自分が所有する固定資産と、他人が所有する固定資産を交換し、その価値がほぼ等しくその後の利用も大きく変わることがなければ、もともと所有していた固定資産を手放したとしても、交換前後で利用実体に変わりないと考え、譲渡がなかったものとするものです。
このため、今回のように、借地権を売って、面積の狭い底地と不足をお金で精算する場合は、借地権を単に現金化した譲渡に近く、交換特例が利用できなくなる可能性があります。
なお、お金を1円でももらったら、交換特例が適用できないわけではなく、一定の基準があります。
譲渡資産の価額と交換取得資産の価額との差額が、いずれか高い方の価額の20%以内であれば、交換特例の適用があります。
なお、ご相談者様は居住用にこの物件を利用されているため『居住用財産の交換の特例』の適用についても検討してみましょう。
こちらは、先ほどのようなお金を多くもらうと適用不可という要件はなく、10年以上居住しており、かつ、売った年の1月1日に所有期間が10年超であることなどが要件になります(交換も売買の一種となります)。
他には、売却代金が1億円以下であることも要件にあるため注意が必要です。
このため、そのほかの要件も見比べてすべて満たすようでしたら、お金をもらっていても『居住用財産の交換の特例』の適用ができることになります。
その他にも、居住用財産の 3,000万円特別控除の適用を受けられる可能性もあります。
居住用財産は優遇されている措置が多くあるため、適用漏れがないよう気をつけてください。
《担当:税理士 青木 智美》
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