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不動産 税金相談室

不動産売却と定額減税【不動産・税金相談室】

不動産売却と定額減税【不動産・税金相談室】

2024.05.21

Q 私は会社員であり、現在、自宅の売却を検討しています。
6月支給の給与から「定額減税」を受けられると聞きましたが、本年中に自宅を売却する場合、定額減税への影響はあるのでしょうか。

なお、想定している売却価額から計算すると、売却利益はあるものの、居住用の3,000万円特別控除によって、売却による税金は生じない見込みです。

A 会社員の方など給与所得者については「本年6月支給の給与」から、給与所得者でない個人事業者などについては「所得税の予定納税や住民税の普通徴収など」によって、定額減税が実施されます。

定額減税とは、1人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)を減税するもので、会社員の方であれば、6月支給分以降の給与における源泉徴収税と、天引きの住民税から控除します(控除しきれないものは翌月に繰り越されます)。

これには本人だけでなく、合計所得金額48万円以下(給与収入ベースでは103万円)の配偶者や扶養親族も含まれますので、たとえば、夫婦と子供1名の3人家族であれば、合計12万円(4万円×3名)の控除を受けることができます。

ただし、本人の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入ベース2,000万円)であることが条件ですから、ご質問のように不動産の売却などの臨時的な所得がある場合には注意が必要です。

その年に不動産を売却したことにより、所得が多くなってしまう場合であっても、判定基準はあくまでも1,805万円となるためです。

仮に、給与所得が800万円あり、不動産売却による利益(譲渡所得)1,500万円であれば、合計所得金額は2,300万円として計算しなければなりませんので、定額減税の条件を満たさない「高額所得者」として判定されます。

また、ご質問者は、居住用の3,000万円特別控除の適用を受けるとのことですが、所得の判定は特別控除前の金額によることとされています。

売却による利益が1,500万円であれば、特別控除によって税金の対象となる所得が0円になるものの、定額減税の判定では、特別控除前の1,500万円が所得の基準となるわけです。

それでは高額所得者に該当すると、6月支給の給与から定額減税を受けられないかというと、そうではありません。

高額所得者であっても、いったん毎月の給与から定額減税を受けた上で、年末調整や確定申告で最終的な所得金額を算出して、定額減税の精算を行う仕組みとなっています。

複雑な仕組みという印象ですが、さらにややこしいことに、住民税は令和5年の所得を基準に、所得税は令和6年の所得を基準としています。
つまり、住民税のみ定額減税の対象となり、所得税は対象外になるといったケースも考えられるのです。

まだ売却を検討している段階とのことですが、
ご本人の給与の状況だけでなく、不動産の売却時期や売却金額によって、定額減税にも影響を及ぼすことをご考慮いただきたいと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

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