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不動産 税金相談室

相続した不動産、株式の譲渡【不動産・税金相談室】

相続した不動産、株式の譲渡【不動産・税金相談室】

2024.06.18

Q 同族会社を経営していた父が亡くなり、その会社の株式と不動産(アパート)を相続しました。
納税資金が少ないため、とりあえず会社から借りて納税をしていますが、不動産を売却して返済しようと考えています。

相続税の申告期限から3年以内に売ると所得税が安くなるとのことですが、その内容と、良い条件で売れなかった場合に、他に何か良い方法はないか、教えていただけますでしょうか。

A ご質問の件は、相続税の取得費加算のことかと存じます。
相続税の取得費加算は、相続により取得した財産を、一定期間内に売却した場合に、相続税の一部を取得費に加算できる、という規定です。

譲渡所得税は、譲渡収入から取得費と譲渡費用を引いて、譲渡所得を計算しますので、取得費に相続税が加算できるということは、譲渡所得が減ることになります。
したがって、所得税が安くなる、ということです。

この加算できる相続税というのは、相続税全体の内、その財産にかかった相続税として計算された金額となります。

したがって、この取得費加算が適用できるのは、相続で財産を取得していること、相続税を納めていることが、条件となります。

また、一定期間内に売却というのは、相続開始の日から3年10か月以内ということになります。

良い条件でなかなか売れない、とのことですが、3年10か月を過ぎてしまうと、上記取得費加算が使えなくなってしまいますので、たとえば経営する同族会社が買い取る、ということも考えられます。

この場合においても、取得費加算を使うことが可能です。
ただし、適正な時価で売却する必要がありますので、その点はご注意ください。

その後、同族会社は時間をかけて良い条件で売却することを考えれば良いのではないでしょうか?取得価額は購入した価格となりますので、会社ではそれ程、売却益は発生しないのではと思います。

ただし、不動産の譲渡には登録免許税や司法書士報酬、不動産取得税などが多額にかかってしまうデメリットがあります。

そのため、場合によっては不動産の売却ではなく、相続した同族会社の株式を会社に売却するということも考えられます。

会社から見れば自己株式の買取りとなります。
通常自己株式の買取りは、みなし配当が発生し、累進課税により場合によって高い税額となりますが、こちらも相続開始の日から3年10か月以内に売却した場合は、みなし配当とはならずに譲渡所得として約20%程度の税率で済ませることが可能です。

また、自己株式の売却が譲渡所得となることによって、上記相続税の取得費加算も適用することができます。

会社の状況等にもよるでしょうが、そのようなことも是非、選択肢の1つとしておくと良いかと存じます。

《担当:税理士 青木 智美》

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