不動産 税金相談室
別荘の生前贈与と相続【不動産・税金相談室】
2024.07.09
Q 別荘を長男に贈与したいと考えています。
以前、評価額を調べてもらったところ、建物と土地と合わせても250万円くらいでした。
今年贈与するとしたら、税金はいくらかかりますか。
また、相続になった場合の影響なども知りたいです。
A 贈与税の計算には2つの方法があります。
暦年課税と相続時精算課税の2つの贈与制度です。(相続時精算課税は、贈与者が60歳以上、受贈者が18歳以上という要件があります)
・暦年課税
暦年課税を適用する場合の税金は、次の計算式のとおりです。
—————————————————————————
(250万円-110万円)×10%=14万円
—————————————————————————
不動産の評価額を250万円とした場合、250万円から110万円の基礎控除額を控除した残額140万円に対して、贈与税率を乗じて計算します。
贈与税率は、課税価格によって10%から55%までの累進課税となっています。
課税価格200万円までは、10%の税率となりますので、上記のとおりとなります。
一方、相続時精算課税を適用する場合は、今回の贈与税はゼロになります。
課税価格から相続時精算課税の基礎控除110万円を控除した残額が、2,500万円までであれば、贈与税はかかりません。
その代わり、贈与者の相続があった際に、相続税で精算することになります。
相続が発生した場合の影響については、今年から一部改正されましたが、暦年課税と相続時精算課税では、それぞれ異なってきます。
暦年課税については、相続前一定期間の贈与は、相続財産に加算されることになります。
加算対象期間は、相続開始日により異なります。
相続開始日による加算対象期間は、次のとおりです。
—————————————————————————————–
・令和8年12月31日までに開始した相続の場合:相続開始前3年以内の贈与
・令和9年1月1日から令和12年12月31日までに開始した相続の場合:令和6年1月1日から死亡の日までの贈与
・令和13年1月11日以降に開始した相続の場合:相続開始前7年以内の贈与
—————————————————————————————–
暦年課税の場合は、加算対象期間に贈与した財産の額すべてが、相続財産に加算されることになります。
・相続時精算課税
一方、相続時精算課税を適用した場合は、基礎控除額110万円を除いた贈与額が加算されることになります。相続時精算課税を適用した贈与は、相続前の期間にかかわらず相続財産に加算されます。
今回、相続時精算課税を適用した場合は、140万円(250万円-110万円)が相続財産に加算されることになります。
なお、贈与時に支払った贈与税がある場合は、相続税から控除することができます。
これは暦年課税でも相続時精算課税でも控除できます。
《担当:税理士 宮田 雅世》
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html