不動産 税金相談室
不動産の名義が既に亡くなっている方の名義である場合【不動産・税金相談室】
2024.08.27
Q 先日母が亡くなり、相続税の申告の準備をしています。
母の財産は預金が1,000万円程度と自宅の不動産です。ただ、自宅は15年前に亡くなった父の名義になっております。母は亡くなるまで、そこに1人で住んでいました。
自宅不動産の評価は、土地建物合わせて5,000万円程度となります。
この不動産は母の財産として相続税を申告することになるのでしょうか?
なお、相続人は私と弟の2人です。
A 自宅の不動産がお父様の名義になっているということは、お父様の相続の際に遺産分割協議をしていなかったのかと思われます。
そうなるとまずは、お父様の相続の遺産分割協議を行って、不動産の相続登記を行う必要があります。
ただ、お父様の相続人の1人であるお母様は既に亡くなっている、ということで、ご兄弟2人で遺産分割協議を行うことになります。
ご兄弟2人は、お母様の相続人でもありますから、お母様の代理もしてお父様の遺産分割協議を行います。
その際に、自宅の不動産をお母様が相続することもできますし、ご兄弟2人のどちらかが相続することもできます。
お母様が相続すれば、自宅の不動産はお母様の財産になり、お母様の相続においては、自宅の不動産と預金が相続財産となります。
不動産と預金を合わせれば6,000万円程度となり、基礎控除4,200万円(3,000万円+600万円×2人)を超えますので、相続税の申告が必要となってきます。
ご兄弟2人のどちらかがご自宅を相続した場合は、お母様の相続財産になりませんので、お母様の相続財産は預金の1,000万円だけとなり、この金額ですと相続税の基礎控除に満たないため、相続税の申告をする必要はありません。
なお、お父様の相続時における自宅不動産の評価額はわかりませんが、その他の財産と合わせて基礎控除を超えるようであれば、本来であれば申告をする必要があります。
ただし、相続税の場合、申告期限から5年を経過するといわゆる時効となり、相続税の納税義務がなくなります。
したがって、お父様の相続税の申告をしなくても問題はありません。
ただ、15年前の当時は、相続税の基礎控除が相続人3人ですと8,000万円あった時代(平成26年以前の相続は、5,000万円+1,000万円×相続人の数)ですから、他の財産にもよりますが、そもそも相続税申告の必要がなかったかも知れません。
いずれにしても、お父様の相続の遺産分割から行う必要があります。
《担当:税理士 北岡 修一》
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