不動産 税金相談室
個人の土地を会社が利用している場合【不動産・税金相談室】
2024.10.15
Q 私は、数年前父から工務店を営む会社の経営を引き継いで、現在代表をやっております。本年父が亡くなり、会社の株式と社屋が建っている土地を相続します。
この会社は父が個人事業でやっていたものを、10年位前に法人成りした会社で、個人で所有していた建物のみ会社に譲渡し、土地については無償返還届を出しています。
なお、地代は個人の固定資産税を負担する程度は支払っております。
事業で使っている土地は、個人事業の場合、事業用の宅地として、小規模宅地特例が使えると思いますが、法人成りしている場合でも使えるのでしょうか?
A 事業用の小規模宅地特例は、400m2まで80%の評価減ができるため、相続税の計算においては、非常に大きなインパクトがあります。
しかも、居住用の小規模宅地特例(330m2まで80%評価減)を使う場合でも、面積制限はなく、フルに400m2までの評価減を使うことができます。
事業用と居住用を合わせれば、730m2まで宅地の評価が80%も減額されますので、相続税が大きく減額されることになります。
事業に個人所有の宅地を利用している場合には、是非、使いたい特例です。
法人成りをした場合でも、特定同族会社事業用宅地といって、個人事業と同様に、小規模宅地特例(400m2まで80%評価減)を使うことができます。
ただし、以下のように、いくつかの要件があります。
・被相続人とその親族等で、発行済み株式の50%超を持っていること
・不動産貸付業を営む会社や、清算中の会社は対象外
・その宅地を相続した親族が、相続税の申告期限において、その会社の役員になっていること
・その宅地を申告期限まで引き続き所有し、申告期限までその会社の事業の用に供していること
・賃貸借契約として、賃料(家賃や地代)を支払っていること
ご質問の場合には、上記の要件にほぼ該当するのですが、最後の賃貸借契約としての賃料を支払っているかどうかが、問題になります。
建物は会社で所有していること、土地は無償返還届を出していることは、特に問題はありませんが、お父様の賃貸事業として賃料をもらっていたかどうかがポイントです。
賃貸借契約になるためには、事業と言える程度の賃料を収受する必要があります。固定資産税程度であると、賃貸借契約とは言えず、使用貸借とみなされてしまう可能性が強いです。
この場合は、残念ながら特定同族会社事業用宅地として、小規模宅地特例を使うことができないことになります。
《担当:税理士 北岡 修一》
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