不動産 税金相談室
空き家となる実家を売却するか賃貸するか?【不動産・税金相談室】
2024.11.19
Q 今年80歳になる父親はまだまだ元気ですが、老人ホームに入ることになりました。父は先代から相続した土地に自宅を建て長年住んでおりましたが、その自宅は今後誰も住まなくなるため、売却しようと考えています。
母は既に亡くなっています。
売却価格は1億円位になりそうで、土地の取得価格はわからないため、譲渡益は8,000万円くらい出そうです。
不動産屋さんに相談したところ多少のリフォーム費用をかければ、月25万円程度で賃貸できるとのことです。
売却した方が良いか、賃貸した方が良いか税金面からアドバイスいただけますでしょうか?
A 売却した場合は、居住用の3,000万円特別控除が使えますので、概算で次のように税金がかかってきます。
譲渡所得税 =(譲渡益8,000万円-3,000万円)× 14.21% = 約710万円
10年以上所有している居住用の不動産は、3,000万円控除をした後、6,000万円までの部分は、通常20.315%の税率が上記のように14.21%となります。
3,000万円特別控除を使わない場合は、8,000万円×20%=1,600万円ですから、約900万円税金が減ることになります。大きいですね。
賃貸した場合は、家賃が月25万円とのことで年間300円の収入になります。5年間賃貸することができれば、1,500万円の収入になりますので、それ以上賃貸することができれば、3,000万円控除を使った場合の節税額を上回ってきます。
また、売却した場合には、売却収入から譲渡費用を引いた残りが、財産(現預金)となって残ってきます。
仮に譲渡費用が仲介手数料3%のみとすれば、9,700万円の財産が残ることとなり、これに相続税がかかってきます。
一方賃貸していた場合には、土地は路線価評価で時価の80%以下、さらに賃貸であるため貸家建付地となり約20%の減額ができます。
さらに、賃貸してから3年以上経っていれば、小規模宅地の評価減で200m2まで50%評価減ができる可能性があります。
家屋も固定資産税評価額の70%と、低く評価することができます。したがって、かなり相続財産が低くなる可能性があります。
ただし、賃貸収入年間300万円が、相続財産として積みあがっていくことにはなりますが。
以上のような情報をもとにご検討をいただければと思いますが、何を重視するかによって、どちらが得策なのかは変わってくるのではないでしょうか。
なお、居住用の3,000万円特別控除は、住まなくなってから3年を経過する日の年末までに譲渡すれば、適用を受けることができます。
その間賃貸していても適用を受けることはできますので、当面は賃貸しておき、期限までにどうするかを決定する、という選択肢もあるのかと思います。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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