不動産 税金相談室
住宅取得資金贈与の非課税、合計所得金額に注意【不動産・税金相談室】
2024.12.10
Q 今年、マイホームを新築して住み始めています。
マイホームの新築にあたっては父より1,000万円の贈与を受けており、住宅取得資金贈与の非課税の適用を全額受ける予定です。
私の所得は給与が1,000万円程度なので、所得制限はひっかからないと思いますが、上場株式の譲渡で1,500万円以上の利益が出ています。2つの証券会社の特定口座で取引をしていますが、一方が若干のマイナスが出ているため、
確定申告をして損益を通算しようと考えています。
株式は分離課税とのことで、所得制限には引っかからないと思いますが、いかがでしょうか?
A 住宅取得資金贈与は、要件を満たすことにより、省エネ等住宅であれば、1,000万円、その他の住宅であれば500万円まで非課税となります。
この非課税特例の要件の1つに、贈与を受けた年分の受贈者の合計所得金額が、2,000万円以下であること、という要件があります。
この合計所得金額の定義が重要となってきますが、国税庁のホームページには次のように記載されています。
<合計所得金額>(一部省略)
次の1と2の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。
※申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額の合計額を加算した金額です。
1.事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
2.総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額
ここでのポイントは、※印の申告分離課税の所得金額も加算する、というところです。
上場株式の譲渡所得については、特定口座において源泉徴収ありの口座を選択している場合は、確定申告不要とするか、申告分離課税として確定申告するかを選ぶことができます。
ご質問のとおり上場株式の譲渡所得を確定申告する場合は、その所得を合計所得金額に加算することになります。
その結果、合計所得金額が2,000万円を超えてしまった場合には、住宅取得資金贈与の非課税の特例を受けることができなくなります。
したがって、住宅取得資金贈与の非課税の適用を受けるのであれば、上場株式の譲渡所得は確定申告をせず、申告不要を選択する必要がある、ということになります。
《担当:税理士 北岡 修一》
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