不動産 税金相談室
父の土地に子がアパートを建てている場合【不動産・税金相談室】
2025.01.07
Q 私は、10年前に父が所有する土地にアパートを建てて賃貸しております。父には地代などは支払っておりません。
アパートを建てると相続税対策になると聞いてはいましたが、土地と建物の所有者が違う場合は、土地は評価減されないとのこと。
父も高齢になってきましたので、そろそろ相続税も気になりますが、この場合は父に地代などを支払った方が良いのでしょうか?
それとも他に何か良い方法はあるでしょうか?
A ご質問のケースは、お父様から土地を使用貸借(無償での貸借契約)していることになります。
この場合は、お父様の土地の相続税評価は自用地評価となり、貸家建付地のような評価減をすることはできません。
また、ご質問のように地代を支払うと、借主であるご質問者には借地権があるものとみなされ、借地権設定の権利金を支払う等をしない限り、借地権の贈与を受けたものとして、多額の贈与税が課されることになりかねません。
したがって、ご質問のような場合に地代を払うことは避けた方がよろしいかと存じます(固定資産税程度なら構いません)。
1つの方法として、ご質問者が所有する建物をお父様に買い取ってもらうという方法もあるのではないでしょうか?
この場合は時価で譲渡する必要がありますが、建物の未償却残高(取得価額から減価償却費の累計額を差し引いた残額)を時価として譲渡することも可能です。
未償却残高で譲渡すれば、ご質問者に譲渡益が出ることはなく、譲渡所得税はかかりません。ただし、ローンがある場合などは、譲渡した金額で残債を返済できるのかを検討しておく必要があります。
お父様の方は、建物を購入した分の現預金が減り、建物が増えますが、建物は固定資産税評価額に70%を乗じた貸家評価ができますので、相続財産は減ることになります。
また、お父様の土地は貸家の敷地となりますので、貸家建付地となり約20%の評価減がされることになります。
その他、小規模宅地の評価減を受けられる可能性もありますので、そうなるとさらに相続財産が減額されることになります。
ただし、アパートの家賃収入がお父様に入ってくることになりますので、その分の財産は増えていくことになります。
実行するときは是非、専門家である税理士に相談して、上記のことをすべて踏まえて試算した上で、その効果を確かめてから実行されることをお勧めします。
《担当:税理士 北岡 修一》
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