実践!相続税対策
相続放棄は3カ月以内とはいつから?【実践!相続税対策】第417号
2019.12.18
おはようございます。税理士の北岡修一です。
相続が起こること、すなわち親などが亡くなった時に、相続は始まりますが、これを相続が開始する、と言います。
これを民法には「相続は、死亡によって開始する」と書いてあります。
相続開始、というと一般の方には何となく違和感があるかと思いますが、法律用語の1つです。
さて、相続というと財産をどう分割するかとか、相続税がかかるのか、いくらになるのか、という話が多いかと思いますが、必ずしもプラスの相続ばかりではありません。
借金や保証債務などがあって、相続すると債務を負ってしまうような相続もあります。
そのような場合には、相続を放棄することができる、ということは皆様、よく知っているかと思います。
この放棄は、亡くなってから3カ月以内にしなくてはならない、ということも知っている方が多いでしょう。
ただし、正確には、相続の放棄は、相続開始があったことを知った日から3カ月以内に、しなければならない、ということになっています。
相続開始があったことを知った日から、ですから、必ずしも亡くなった日とは、限りません。
ある方は、子どもの頃に両親が離婚しており、それぞれがその後、再婚して新しい家庭を築いていました。
本人は父親の方についていき、離婚した直後は、母親と会ったりもできましたが、父と母の話し合いで、その後は一切会うことができなくなってしまいました。
その後、50年以上も経った後に、不意に保証協会から1通の封書が送られてきました。あけてみると、何と母親の保証債務を相続人であるあなたが払え、というような内容でした。
何百万円の督促がきてビックリすると同時に、1年も前に母親が亡くなったんだと、初めて知ったとのこと。
さぞかし複雑な思いでしょうね。その保証債務は、再婚した相手が事業に失敗して、その保証人に妻である母親がなっていたことによるものでした。
これは大変、亡くなってから3カ月どころか1年以上も過ぎているので、放棄もできないんじゃないかと、相談に来ました。
でも、相続放棄は、相続開始があったことを知った日から3カ月以内だから大丈夫と、その保証協会からの通知などの書類を添付して、家庭裁判所に相続の放棄を申請しました。
もちろん、無事に相続放棄が認められたのですが、こんなものがいきなり来るとあせりますね。
まあ、滅多にないことでしょうが、相続に関するいろいろな手続きの期限は、相続開始があったことを知った日が起点となっていますので、覚えておきましょう。
編集後記
今週は、忘年会のピークの週。毎日忘年会の方は多いのではないでしょうか。私もそうですが、平日全部埋まってしまったので、断っていたのですが、では土曜日はどう?ということで、ついにそこまで埋まってしまうことになりまし。日曜日だけは何とか休肝日を確保しないと(笑)。
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